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3Dのレギュラー放送を開始するBS朝日、安全性確保の取り組みを聞く

 ビーエス朝日は11月1日に、3Dの音楽レギュラー番組「Panasonic 3D MUSIC STUDIO」の放送を開始する。準基幹放送であるBSデジタル放送で、3D放送の開始を決定するまでの経緯や視聴者の安全性確保の取り組みなどを編成制作局 番組審査部長の佐藤研氏に聞いた。

 3D放送の開始を決断した背景について佐藤氏は、「3D放送は、基幹放送である地上放送ではなかなかできない。地上放送ができないことをやるのは準基幹放送が行うべきことの一つではないかと考えた」と説明する。

 視聴者の健康への影響については、「午後11時50分からという時間帯に放送するほか、今は3D対応テレビの所有世帯は限りがある」としており、準基幹放送とはいえ3D番組を視聴できるのは一部の世帯にとどまることが、BS朝日の3D放送開始の判断材料の一つになったようだ。Panasonic 3D MUSIC STUDIOはサイドバイサイド方式で放送されるため、3D非対応のテレビでは、右目用と左目用のよく似た映像が左右に表示されるが、「視聴者の気分が悪くなることはない」という。

 大人に比べて視力が安定していない子どもの保護については、「8歳以上の視聴を推奨する」ことなどで対応する。番組が始まる前には、「8歳未満の方は視聴をご遠慮ください」などの音声を流して、子どもやその保護者に注意を働きかける。8歳以上の子どもや大人に対しても、「必ず2メートル以上離れてください」「見ていて気分が悪くなったら視聴をやめてください」などの注意事項も事前にナレーションで視聴者に伝える。

 3D番組の放送開始に当たり、視聴者の健康を害さないようにするためにBS朝日が作成したガイドラインに基づいて、3D放送を行う。3D関係者の団体である3Dコンソーシアム(3DC)の「3DC安全ガイドライン」などを参考に作成した。ただし、3DC安全ガイドラインには「両眼立体視機能は5歳までには成人同等になる」といった趣旨の視力に関する基礎データが掲載されているが、「視力の発達には個人差があることを考慮し、8歳以上の視聴を推奨することにした」と説明するなど、より慎重な取り組みを行っている。

 さらに放送前には、映像が視聴者に害を及ぼさないかどうか、専門家による監修を受ける。監修を行うのは、立体映像注視時の視覚反応などを研究する半田知也氏(北里大学 専任講師)である。

 緊急地震速報への対応については、「3Dモードで表示できる緊急地震速報の告知を用意する」という。この告知によって、2Dモードに切り替えてもらい、「○×の震度5」といった字幕スーパーを視聴者が読むことができるようにする。

■変更履歴
記事公開当初、1段落1〜2行目と3段落4行目に「Panasonic 3D MUSIC STADIO」とありましたが,正しくは「Panasonic 3D MUSIC STUDIO」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2010/11/02 17:28]
(長谷川 博=日経ニューメディア)  [2010/11/02]
出典:日経ニューメディア 2010年10月18日号  12ページより
(記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

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