あるところに、だいこんくんとおじいさんがいました。
だいこんくんは言いました。
「ああ、どうしてぼくの足はこんなに太いんだろう。」
おじいさんがこたえました。
「それなら、足の余った肉を削ぎ落としてしまえばいいんじゃないか。」
だいこんくんは
「ああ、とてもいい考えだね。」といって
自分で足の余った肉を削ぎ落とし、それをおじいさんにあげました。
足の余った肉をもらったおじいさんはどうしたものかとおもい、おみそしるにいれることにしました。
そのおみそしるはとてもおいしく、おじいさんはおどろきました。
そしてもっとたくさんたべたいとおもいました。
次の日、
だいこんくんが言いました。
「ああ、ぼくはなんて腕が太いんだ。」
おじいさんは
「それなら、腕の余った肉を削ぎ落としてしまえばいいんじゃないか。」と言いました。
また削ぎ落とされた肉をもらいました。
しめしめ。これでまた今日もおいしいおみそしるがたべられるぞ。
とおじいさんは思いました。
そしておみそしるをつくって、たべました。
次の日、
だいこんくんが言いました。
「ああ、ぼくはこんな丸い顔はいやだ。」
おじいさんはこたえました。
「それなら顔の肉を削ぎ落としてしまえばいいんじゃないか。」
そしてこんどはおじいさんがだいこんくんの顔の肉を削ぎ落としました。
だいこんくんは少しおどろきましたが、また削ぎ落とされた肉をおじいさんにあげました。
おじいさんがおみそしるをつくっていると、だいこんくんがおじいさんの家へやってきました。
おじいさんはごはんをふるまいました。
家にかえっただいこんくんは、とてもおびえていました。
おじいさんがふるまってくれたおみそしるに自分のそれが入っているのがわかってしまったのです。
このままだと、ぼくのぜんしんの肉がおじいさんにたべられてしまう。
こわくなっただいこんくんは、家にあったバットをもって―――
次の日、おじいさんの遺体が発見されました。
かわいそうなだいこんくん。
裁判にかけられ、死刑を宣告されてしまいました。
おじいさんに体の肉を食べられたと主張しても、殺人を犯したものの言葉など誰も聞いてはくれません。
次の日、死刑が執行されました。
そしてふたりは地獄でくるしみましたとさ。
おしまいおしまい