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汚水槽女性殺人で判決＝状況証拠の判断焦点−無罪主張、裁判員裁判・大津地裁

2010年12月02日

　滋賀県米原市で交際相手の小川典子さん＝当時（２８）＝を汚水タンクに落とし殺害したとして、殺人罪に問われた会社員森田繁成被告（４１）の裁判員裁判の判決が２日、大津地裁（坪井祐子裁判長）である。検察側は無期懲役を求刑している。

　森田被告は無罪を主張。被告による殺害を立証する直接証拠がなく、裁判員は状況証拠から事実認定の判断を迫られた。

　検察側は論告で、森田被告は小川さんからほかの女性関係を疑われ、事件当日に激しく罵倒するメールを送られたと指摘。自分との不倫関係の暴露を懸念し、小川さんに強い殺意を抱きかねない状況だったと主張した。

　森田被告の犯行とする根拠について▽小川さんは当日に被告と会った後、生存が確認されていない▽被告の車から小川さんの血痕が検出された▽汚水槽近くで駐車中の似た車が殺害時間帯に目撃された―などの点を列挙。被告が小川さんへ頻繁に送信したメールは事件後激減し、報道前に小川さんの死を知らなければ説明できないとした。

　森田被告の弁解内容はその時点の証拠に合わせ大きく変わっており、被告の犯行以外にあり得ないとし、「うそを平然と重ねて罪を免れることに腐心し、反省の情は皆無」と非難していた。

　弁護側は「けんかは日常茶飯事で、すぐ仲直りしていた。殺意を抱く動機はない」と反論。車の血痕は小川さんが森田被告と当日会う前に付いたもので無関係とし、供述の変遷は取り調べで脅され、あいまいな記憶で話したと説明していた。

　起訴状によると、森田被告は昨年６月１０日夜から１１日未明の間、米原市の汚水タンク付近で、小川さんを多数回殴り、タンクに落として窒息死させたとされる。（了）

小川典子（おがわ・のりこ）、森田繁成（もりた・しげなり）

［時事通信社］