北朝鮮砲撃:金正恩氏を「砲撃の達人」と宣伝するため!?
「軍事分野での英才」として偶像化
韓国政府当局者は11月30日、北朝鮮が同23日に延坪島を砲撃した背景について、「北朝鮮では金正日(キム・ジョンイル)総書記の後継者、三男・正恩(ジョンウン)氏を、“砲撃専門家”だと宣伝してきた。現在はこの点に注目している」と述べた。統一部の当局者も、「昨年後半に北朝鮮を脱出した脱北者の多くが、“金正恩大将同志は砲撃の達人と教えられた”と証言している」「北朝鮮が延坪島を砲撃した理由の一つは、金正恩氏の業績を積み上げるためだろう」と述べた。
本紙が入手した金正恩氏偶像化に関する文書には、正恩氏について「砲撃に詳しい軍事分野の英才」という記載が出てくる。この文書は正恩氏について、「現代戦での砲撃の重要性を深く洞察している」「金日成(キム・イルソン)軍事総合大学で学び、砲兵としての任務から学んだ」と説明している。
金正恩氏は、砲兵部隊用の地図製作にも卓越した才能を示したという。文書によると、正恩氏は歩兵指揮官として3年、研究員として2年過ごしたとのことだ。また、金日成軍事総合大学ではあらゆる科目で優秀な成績を修め、2006年12月24日に卒業式に出席した。この席で正恩氏が、「戦略や戦術的構想を考慮して作成した複数の作戦地図」を人民軍指揮官に示すと、「これは偉大な首領様(金日成主席)と敬愛する将軍様(金正日総書記)の軍事戦略思想を大きく光り輝かせる奇想天外かつ千変万化の地図であり、文句なしの満点」と誰もが驚嘆し、その優秀さを認めたという。この地図について文書は、「わが国では初めて、人工衛星の資料やGPS(衛星利用測位システム)受信機による表示を利用した新しい地図だ。この地図を人民軍が利用するようになれば、師団や連隊をはじめ、あらゆる単位の軍で作戦戦闘組織を新たに導入し、指揮するに当たって非常に有利だ。とりわけ砲兵にとっては、点による火力攻撃の正確さを高めるのに大きく役立つに違いない」と説明している。
韓国政府当局者は、「金正恩氏が執筆した金日成軍事総合大学の卒業論文の内容は、GPSを活用して砲撃の正確度を高める方法に関するものらしい。正恩氏が砲撃に多くの関心を持っているのは事実だろう」とコメントしている。
昨年書かれたこの文書には、「(正恩氏が)今年の年頭に敬愛する将軍様と共に、わが部隊による将兵たちの訓練を指導し、注視しながら、大きな愛情と温情を下さった」とも記載されている。統一部の当局者は、「金総書記は昨年の1月から3月まで、毎月砲兵司令部の部隊を訪問し、砲撃訓練を見守っていたが、この席に正恩氏も共にいたことを示唆している」と述べた。
一方、この文書の最後には、金総書記が2008年3月27日と昨年2月11日に、党中央軍事委員会を招集して戦争の準備を指示し、部隊の指揮系統の改善や軍紀の確立を求めたと記載されている。党中央軍事委はここ20年間、ほとんど活動を行っておらず、有名無実化していたが、今年9月28日に44年ぶりに開催された党代表者会で全面的に再編され、実質的な軍統帥機関として復活した。
姜哲煥(カン・チョルファン)記者
李竜洙(イ・ヨンス)記者