【社説】ウィキリークスに暴露された対北外交

 内部告発サイト「ウィキリークス」が先月28日から公開した米国務省の外交電文を通じ、韓国、米国、中国の外交官が北朝鮮問題にどのような考えを持ち、またどのような対話が交わされていたのかが次々と明らかになっている。

 電文によると、大統領府の千英宇(チョン・ヨンウ)外交安保主席は、外交通商部第2次官だった今年2月、スティーブンス駐韓米国大使に、「韓国が統治し、米国と友好的な同盟で結ばれた統一韓国を、中国は穏やかに受け入れるだろう」と自信を持って話したという。ところがそれから1カ月後の3月26日、北朝鮮は韓国の哨戒艦「天安」を沈没させ、最近は延坪島への砲撃まで行ったが、中国は一貫して北朝鮮を擁護している。別の文書によると、韓国の外交官らは異口同音に、「今後、中国は一方的に北朝鮮に肩入れするようなことはないだろう」と楽観視していた。

 中国も北朝鮮の動きについて正確に把握していなかった。米国が2009年5月13日に中国に対し、北朝鮮が核実験を行う地域で尋常でない動きをキャッチした衛星写真を提示し、核実験が行われる可能性について問いただした。すると中国の政府関係者は、「核実験に関する深刻な脅威は把握していない」と断言したという。ところがそれからわずか10日後、北朝鮮は2回目の核実験を強行した。

 かつて米CIA(中央情報局)ソウル支局長だったグレッグ元駐韓大使は退任後、「米国の諜報史において北朝鮮は、最も長期にわたり米国が情報収集の失敗を繰り返してきた国だ」と述べた。今回、公開された文書を見れば、なぜこのような発言が飛び出したのかをうかがい知ることができる。韓米両国政府のトップに近い人物たちが交わしていた北朝鮮関連の対話の内容とレベルは、両国の政策、戦略、戦術のいずれにおいても、いかにあいまいな情報判断の上に成り立っていたかを示している。

 北朝鮮の動向を正確に把握することができなかったため、核やミサイル開発、哨戒艦「天安」への攻撃、延坪島砲撃などに対して韓国は何も打つ手がなく、後からその対応に右往左往していた。軍は北朝鮮からの攻撃に万全の態勢で備えなければならないが、同じように北朝鮮関連情報の収集・分析能力を引き上げることも、喫緊の課題であることが改めて浮き彫りになった。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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