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連続不審死:口つぐむ木嶋容疑者…県警「動機は金銭目的」

都内から移送され千葉県警松戸署に入る木嶋佳苗容疑者(右)=千葉県松戸市で2010年12月1日、尾籠章裕撮影
都内から移送され千葉県警松戸署に入る木嶋佳苗容疑者(右)=千葉県松戸市で2010年12月1日、尾籠章裕撮影

 首首都圏の連続不審死事件の舞台が1日、千葉に移った。千葉県野田市の安藤建三さん(当時80歳)を殺害したとして、県警に殺人容疑で再逮捕された木嶋佳苗容疑者(36)。捜査関係者によると、1日の逮捕時は無言、無表情で、容疑について問われても「私は安藤さんを殺していません」との一言だったという。埼玉、東京、そして千葉。木嶋容疑者が口をつぐむ中、物証に乏しい3事件の全容は解明されるのか。【中川聡子、駒木智一、黒川晋史】

 千葉県警は1日朝、木嶋容疑者を東京都立川市の警視庁施設から千葉県へ移送した。捜査本部を設置した野田署に勾留担当の女性署員がいないため、木嶋容疑者を乗せた県警のワゴン車は午前11時2分、松戸署に入った。

 木嶋容疑者は青いパーカとスエットのズボン、白い靴下に茶色のサンダル履きという姿。報道陣約30人のフラッシュを浴びながら車を降りたが、フードを頭からすっぽりとかぶり、表情はまったく分からない。足取りはしっかりしており、女性警察官らに伴われ裏口から署内へ入った。

 逮捕容疑は09年5月15日午前、安藤さん方で、安藤さんに睡眠薬を飲ませて眠らせ、練炭に火をつけて一酸化炭素中毒にした上、火災によるやけども負わせ、殺害したとしている。

 県警は「金銭目的による殺害」とみて状況証拠を積み重ねてきたが、記者会見した財津定夫捜査1課長は「出火の経緯を解明できず、木嶋容疑者の供述を待つほかない」と取り調べに全力を尽くす姿勢を見せた。

 事件当時、安藤さんの長男は職場で「自宅が火災」との知らせを聞いて駆けつけたが、既に自宅は焼け落ちていたという。翌日、木嶋容疑者から「(安藤さんの)携帯がつながらない」と電話があった。「火災で亡くなりました」と告げると、木嶋容疑者は「(火災のあった日の)午前中伺ってたんですけど」と話したという。「そのことを警察に連絡しなければいけないのですが、いいですか」と聞くと木嶋容疑者は「かまいません」と答えたという。

 安藤さん方は既に取り壊され、空き地となっている。

    ◇

 千葉県内では07年8月にも木嶋容疑者の知人男性(当時70歳)が死亡していたことが、昨秋に発覚。県警が事件性の有無を再捜査していたが、財津課長は「初動の段階で木嶋容疑者との関係が分かっていれば別の展開もあったのだろうが、今の段階では証拠が乏しい」と述べた。

毎日新聞 2010年12月1日 21時15分(最終更新 12月1日 23時46分)

 
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