ゼロ金利復活:物価上昇1%程度まで継続

2010年10月5日 23時42分 更新:10月6日 13時30分

日銀が実質ゼロ金利政策を復活させる追加金融緩和策を決め、記者会見する白川方明総裁=日銀で2010年10月5日午後4時8分、佐々木順一撮影
日銀が実質ゼロ金利政策を復活させる追加金融緩和策を決め、記者会見する白川方明総裁=日銀で2010年10月5日午後4時8分、佐々木順一撮影

 日銀は5日の金融政策決定会合で、政策金利(無担保コール翌日物)の誘導目標を現行の「年0.1%前後」から「年0~0.1%程度」に引き下げ、4年3カ月ぶりに実質ゼロ金利政策を復活させた。消費者物価指数の上昇率が前年比1%程度になるまで継続することも表明した。また、長期国債や社債、不動産投資信託(Jリート)など計5兆円分を新たに買い入れるとともに、従来の年0.1%の超低金利資金を供給する新型オペ(30兆円)と合わせ、総額35兆円の基金を創設することも含めた追加金融緩和策を決めた。金利低下と、損失リスクのある資産の購入を組み合わせた極めて異例の「包括緩和」(白川方明総裁)に踏み出すことで、先行き懸念が強まっている景気の下支えを狙う。

 包括緩和の柱となる5兆円の新たな買い入れの対象は、長期国債と国庫短期証券が3.5兆円程度、コマーシャルペーパー(CP)と社債などが1兆円程度。また指数連動型上場投資信託(ETF)やJリートなど損失リスクのある金融資産も入る。5兆円で買い入れる長期国債は、日銀の長期国債保有額を日銀券発行額の範囲内と定めた「銀行券ルール」の適用除外とし、市場金利のさらなる低下や投資家心理の改善を図る。

 こうした緩和策拡大に伴い、政策金利が現状より下がりやすくなるため、誘導目標を変更し、年0.1%を下回ることを容認する。さらに日銀は「物価の安定が展望できる情勢」と判断するまで、実質ゼロ金利を続ける方針も表明した。

 日銀はこれまで慎重だった実質ゼロ金利やリスク資産の買い取りに加え、金融政策の目標を消費者物価の上昇率に置く「インフレターゲット」に近い領域まで一気に踏み込み、デフレ脱却に向けた強い緩和姿勢を示した。

 日銀は会合後の公表文で、足元の景気について従来通り「緩やかに回復しつつある」としたものの、「改善の動きが弱まっている」と付け加えた。【清水憲司】

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