日中首脳会談:双方の思惑一致 経済、イメージの回復狙う

2010年10月5日 11時45分 更新:10月5日 14時17分

アジア欧州会議で記念撮影する菅直人首相(後列右端)、温家宝・中国首相(前列左端)ら=2010年10月4日、ロイター
アジア欧州会議で記念撮影する菅直人首相(後列右端)、温家宝・中国首相(前列左端)ら=2010年10月4日、ロイター

 【ブリュッセル吉永康朗】菅直人首相と温家宝中国首相による首脳会談が実現したことで、政治、経済、民間交流などで深刻な停滞が続いていた日中関係はひとまず修復に向けて動き出した。関係悪化で、経済活動に支障が出た日本、国際社会のイメージが低下した中国。早期に対立感情を解き、両国関係を融和ムードに導きたいという双方の思惑が一致した形だ。

 菅首相はアジア欧州会議(ASEM)首脳会議の直前になって出席を決断し、ブリュッセルに乗り込んだ。中国漁船衝突事件を巡っては、野党側も臨時国会での追及姿勢を強めていただけに、首脳会談の実現を受けて「首相も無理して行ったかいがあった」(政府関係者)などと、安堵(あんど)の声も聞かれた。

 関係者によると、日本側は首脳会談を想定した準備を進め、中国側の返事を待っていた状態だった。出発前、菅首相は温首相との会談について問われ、「予定はありません」と述べたが、実際には水面下で模索が続いていたようだ。

 首脳会談は、ASEM首脳会議のワーキングディナー終了後、「自然なふれあい」を演出する形で実現した。事前に会談を想定していたとの印象を避けるため、通訳も「日本語-中国語」ではなく、英語による対話だった。首相は会話の雰囲気を「割と自然に、普通に話ができた」と紹介したが、首脳間のやり取りや、どちらが声をかけたのかなど詳細は明らかにされていない。

 今回の会談を受け、中国当局に拘束されている準大手ゼネコン「フジタ」社員の高橋定さんの早期解放への期待も高まる。ただ、全面的な関係正常化につながるか、なお不安定要素も残り、前原誠司外相は5日朝、記者団の「これで緊張緩和か」との質問に対し、「これからでしょう」と述べるにとどめた。

 一方、外務省内では「まずは首脳同士が会って、友好関係を確認するのが重要だ」(幹部)として、前向きな評価が相次いだ。同省幹部は高橋さんの早期解放について「中国側から動きは聞いていないが、遠からず見えてくるのではないか」と期待感を示した。

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