ウィキリークス:「北朝鮮はブラックホール」

ニューヨーク・タイムズの安全保障問題専門記者が評価

 米紙ニューヨーク・タイムズは先月29日、「韓米高官らによるの北朝鮮に関する分析や見通しは、依然として事実より推測に依存する傾向が高い」と報じた。同紙で安全保障問題を専門に担当するデービッド・センア記者は、内部告発サイト「ウィキリークス」が暴露した米外交電文のうち、北朝鮮に関する各種の報告について、「若干の情報に基づき推測を長く述べているだけで、客観的な事実が少ない」と指摘した。

 同電文によると、今年2月末、千英宇(チョン・ヨンウ)外交通商部第2次官(現・外交安保首席秘書官)はスティーブンス駐韓米大使との昼食会の席で、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の死後2、3年で体制が崩壊すると述べたという。千氏は「中国の若い新世代の指導部は、米国と友好同盟関係で結ばれた韓国主導の統一を嫌がらないだろう」との予測も語った。スティーブンス大使はこの内容をワシントンに打電。だが、その後、北朝鮮の軍事挑発が始まった。昼食会の1カ月後、北朝鮮は哨戒艦「天安」に向け魚雷を放ち、韓国海軍の兵士46人が犠牲となった。さらに、3週間前にウラン濃縮施設を公開したのに続き、先週には延坪島を砲撃。こうした予測は、公電のどこにも見当たらなかった。ニューヨーク・タイムズは、「韓国の当局者らが口にしてきた『北朝鮮崩壊論』は、実際の戦略ではなく、希望的観測によるものだった可能性が高いことを示している」と指摘した。

 さらに、中国が北朝鮮の事情を詳しく把握していないケースが多いことも分かった。中国の外交を統括する戴秉国・国務委員が訪朝後に伝えた内容にも、「金総書記の精神状態は明瞭だ」という一文はあるが、核開発プログラムに関する内容はなかった。北朝鮮の後継問題についても、中国の専門家らは昨年半ばごろまで、「軍部の将校らが権力を受け継ぐだろう」と予想していた。金正恩(キム・ジョンウン)氏については、「ビデオゲームにはまったプレーボーイ」と卑下していた。

全炳根(チョン・ビョングン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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