家電大手「三菱電機」の子会社が、一般事務に女性の派遣労働者を22年間も働かせていたとして、大阪労働局がこの会社と派遣会社に是正指導をしていたことが分かった。働いていたのは大阪府内の40代女性。一般事務にもかかわらず、派遣期限(最長3年)のない専門業務との契約で働き続け、今月末で解雇を告げられた。派遣労働に詳しい専門家は「派遣は本来、一時的・臨時的な労働力で、こんな長期間の派遣は聞いたことがない」と指摘している。是正指導は今月24日付。法律で規定されている派遣期限を大幅に超えるため、直接雇用するよう指導したとみられる。
女性によると、大阪府高槻市内の派遣会社と契約し、88年12月から三菱電機の子会社「三菱電機ロジスティクス」が運営する同府茨木市内の配送センターで働き始めた。契約期間は毎回2、3カ月で、22年間、自動的に更新されてきたという。
女性の手元に一部残されていた就業条件明示書によると、99年4月~01年9月末は「財務処理」▽01年10月~今年9月末は「ファイリング」と「OA機器操作」--などの専門業務をする派遣労働者になっている。
しかし実際は、三菱電機の商品を工場から代理店などに配送する運賃の計算、電話対応などの一般事務で、業務内容は22年間ほとんど変わらなかったという。勤務時間は週5日のフルタイムで正社員と変わらない一方、時給は22年間でわずかに昇給しただけで、1500円前後だった。
今年9月、職場の上司から「11月末で解雇する」と通告されたことから、女性が先月、大阪労働局に是正申告して違法派遣が発覚した。三菱電機ロジスティクスは「是正指導を受けたのは事実だが、それ以上は何もコメントできない」としている。【日野行介】
毎日新聞 2010年11月30日 東京夕刊