2010年11月30日12時4分
米政府の外交文書を公開した11月28日に撮影されたウィキリークスのホームページ=ロイター
【ワシントン=村山祐介】「北朝鮮は駄々っ子だ」「難民30万人までなら受け入れ」――。民間告発サイト「ウィキリークス」が暴露した米国の公電によって、「後ろ盾」とみられている中国政府が北朝鮮の扱いに手を焼き、体制崩壊に危機感を募らせている実態が浮かび上がった。
29日付の英紙ガーディアン(電子版)などが報じた。公電には、韓国の管理下での朝鮮半島再統一を望ましいとする中国高官の私的見解や、中国が北朝鮮の体制崩壊時に軍事的な国境封鎖を検討している、といった内容も含まれていた。中国政府内で、北朝鮮の体制崩壊に備えた議論があったことを示唆するもので、挑発的姿勢を強める北朝鮮をさらに刺激する可能性もある。
ガーディアンがネット上に掲載した今年2月22日付のソウルの米国大使館発の公電によると、韓国外交通商省の第2次官だった千英宇(チョン・ヨンウ)氏(現・大統領府外交安保首席秘書官)が同17日、米国のスティーブンス駐韓大使と昼食をとった際、6者協議の韓国首席代表当時の中国側との私的会話のなかで、中国政府高官2人が「朝鮮は韓国の管理下で統一されるべきだと信じていた」と説明。千氏は、北朝鮮が米国の影響力を緩和する「緩衝国」としての価値をほとんど持たなくなったという「新しい現実」に中国は向き合う用意がある、とも語った。
また、千氏は、北朝鮮が崩壊した際には、中国が韓国と北朝鮮との軍事境界線近くの非武装地帯(DMZ)の北朝鮮側での米軍の存在を歓迎しないことは明らかだ、と指摘。韓国が中国に敵対的な姿勢をとらない限り、統一朝鮮はソウルが管理し、米国はその「無害な同盟国」になる状態が中国にとっても「心地よい」との見方も示した。