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年内の朝鮮儀軌引き渡し暗礁 首相「約束違反」に 稚拙・強引手法で墓穴
朝鮮半島由来の朝鮮王室儀軌などの図書1205冊を韓国に引き渡す日韓図書協定の国会承認が1日、暗礁に乗り上げた。臨時国会の3日閉会が決まり、菅直人首相は日韓併合100年の今年中に引き渡すとした李明博大統領との約束を守れないことになる。十分な審議時間を確保せずに「お願い」を連呼し、一方で反発をあおる言動を繰り返した首相や仙谷由人官房長官の稚拙さが墓穴を掘った。
1日の自民党外交部会は引き渡し反対論が相次いだ。山本一太参院政審会長は、首相官邸を留守にしてまで首相と協定署名に立ち会った仙谷氏に関し「問責決議を可決した参院では承認を通さない」と明言。来年1月召集の通常国会でも「仙谷氏が居座れば審議は門前払いだ」との声も出た。
政府が協定承認案件を国会に提出したのは11月16日。引き渡しを表明した8月の「菅談話」から3カ月以上経過し、野党側への説明開始も11月中旬と遅かった。それでも自民党は当初、賛否が半ばし、谷垣禎一総裁は11月11日の記者会見で「今後の日韓関係の改善につながってほしい」と述べていたほどだ。
水を差したのは首相自身だった。自民党は反対で意見を集約したわけではなく、そもそも審議入りすらしていないのに、首相は11月29日に「野党が邪魔している」と発言。翌30日に谷垣氏に電話で協力を求めたが、後の祭りだった。
外務省内にも当初、解決済みの図書引き渡しを蒸し返すことに懸念があった。それを振り切り、政治主導で菅談話に押し込んだのが首相や仙谷氏だった。仙谷氏は1日の記者会見で「私はひたすらお願いする立場でございます」と低姿勢だったが、自身への問責可決が審議の「障害」と指摘されると態度を一変させ「別に私の所管でも何でもない」と開き直った。今回もまた、先を見通せない政治主導の失敗例となったようだ。