カリグラ 死のアリエッティ
出典: へっぽこ実験ウィキ『八百科事典(アンサイクロペディア)』
カリグラ 死のアリエッティ(英:Caligula ~Arrietty The Assassin~)とは、陰謀渦巻くローマ帝国の歴史に燦然と輝く愚帝「カリグラ」の生涯と、彼を中心にした人間模様を描いた映画である。多分。なお、アンサイクロペディア的な表現で言い表すならば、「嫌がらせ」&「早い者勝ち」。
あわせて、2010年7月に公開を予定しているスタジオジブリのアニメ映画で監督は米林宏昌、脚本は宮崎駿の映画「借りぐらしのアリエッティ」については、こちらのページを参照してください。
えぇ、原作の邦題そのままですが、何か?
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[編集] 概要
この映画の原作となるストーリーは、1980年にアメリカの雑誌ペントハウスが46億円もの巨額の経費をかけて製作した映画「Caligula」である。ローマ帝国時代の皇帝の中でもっとも暗愚であるといわれている皇帝「カリグラ」の放蕩と残忍さを詳細に描くことで大ヒットしたこの作品はしかし、その後、出演者と制作者サイドとのゴタゴタや、禁止されればされるほど見たくなるというカリグラ効果という専門用語でも有名である。中でも、ローマ帝国の文化と風俗を描いた歴史的超大作映画がいつの間にかポルノ映画となったその経緯は、違った意味でこの作品を映画ファンに知らしめている。
もっとも、ペントハウスの製作した映画にいったい何を求めているというのだ。余談だが、タイトルの「カリグラ 死のアリエッティ」というのは死ぬまで借りるだけということを意味しているという説がある。
[編集] ストーリー
ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの養子であった第2代皇帝ティベリウスは、長年の政争の果て、ついに50代にして皇帝の地位に上り詰めることに成功する。その直後に起こった内乱も、アウグストゥスの秘蔵っ子として次期皇帝と目されている彼の養子ゲルマニクスと、彼の実子ドゥルススを中心にして無事鎮圧。その権力基盤はますます磐石となっていく。しかし、その5年後、なんと次期皇帝と目され、権力の階段を順調に上っていった養子ゲルマニクスが急死する。その裏側にはローマ帝国の裏の歴史である、暗殺を生業とする一族の影が蠢いていた。
そのさらに10年後、皇帝の母である「リウィラ」の下で政治を学ぶ一人の有能な若者がいた。名前は「ガイウス・ユリウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクス」。ゲルマニクスの息子であり、その後、世界史に残る暗君とされる「カリグラ」である。そんな彼がリウィラの下に新しく配属された女官「アリエッティ」に出会ったことで、運命と歴史が変転していく。
この物語は、栄光のローマ帝国の裏側で闇に反発しながらも徐々に染まっていく一人の青年の葛藤と狂気、そして何よりも一人の女性への愛を克明に描き出す。
[編集] 登場人物
- カリグラ
- 本作の主人公。幼少時から聡明で、次期皇帝と噂された父と一緒に戦地まで赴くほど期待された存在だった。しかし、父の急死後に一家は離散。その後、軍の元で軟禁状態に置かれるが、17歳のときに曾祖母であるリウィラの下で暮らし始める。一見、快活そうな好青年に見えるがその仮面の下には人並みはずれた葛藤と苦難を隠している。
- アリエッティ
- 本作の主人公その2。帝国内では珍しい赤毛の女官。ゲルマン族の奴隷であったが、その美貌と聡明さでカリグラの父であるゲルマニクスに一族ごと取り立てられた後、14歳のときにリウィラの庇護下に置かれる。その正体はゲルマニクスに恭順したゲルマン部族の中で秘密裏に伝えられてきた暗殺術を駆使する戦闘集団の構成員。当初は言葉の通じない異国の地で苦労するが、優しくも恐ろしいリウィラの深謀遠慮によって、3つ年上のカリグラが宮廷内の礼儀作法を彼女に教えることになる。ちなみに、今作で彼女が使用したものと思われる毒キノコ「ドクツルタケ」、「ドクササコ」、「カエンタケ」について、実はカエンタケはヨーロッパには存在していない。ドクササコについても存在していないと思われたが、2001年にフランスで同じ毒をもつキノコが発見されている。
- ティベリウス
- ローマ帝国第二代皇帝。初代皇帝アウグストゥスが実母リウィアと再婚したために分不相応な立場ながら第二代皇帝の座に就いた。しかし、何事にも慎重を期するその性格と敵を作らぬ性格。何よりも、その強運で帝国内に巨大な権力基盤を築く。しかし、その強運にも実は秘密があった。物語後半、19歳になったカリグラを自身の手元に引き取る。
- 小ドルスス
- 本名ドルスス・ユリウス・カエサル。ティベリウスの一人息子。本来ならばゲルマニクスの最大のライバルであったが、本人はそんな周囲の喧噪をよそに親友として付き合っていた。カリグラとも面識があり、彼の一族が次々と政争に巻き込まれて謀殺されていく中でも、ゲルマニクスへの友情は揺らぐことはなく、彼の遺児たちを引き取って育てている。
- しかし、この物語でもっとも早く暗殺されるのは彼であり、なおかつ、アリエッティとはまったく関係ないところの陰謀で死亡している。
[編集] 事実は小説よりも奇なり
この物語は本来であるならば詳細に説明されるべき帝国内の人間関係図と暗殺についての描写の多くをあえて描かずにいる。
大変に素晴らしい判断である。
なぜなら、あまりにも血縁関係者が多すぎる上、暗殺された人数も莫大、こんな事実をそのまま表現したら、構成に悪影響を与えることが明白なためである。ちなみに、この莫大という表現はまったく間違ってはいない。後世ではなく構成であるけれど、それも間違ってはいない。
主人公と主な登場人物の血縁関係はウィキペディアを参照のこと。何かの迷路にしか見えないけれど、一応、あれでも血縁図である。あわせて、主人公の近親者の中で暗殺された、もしくは暗殺されたと噂される人物をピックアップする。
- 暗殺
- 小ドルスス、小アグリッピナ(妹)、カエソニア(妻)、ドルシッラ(娘)、ブリタンニクス(従兄弟)、本人
- 暗殺の噂
- ゲルマニクス(父)、ティベリウス(大叔父)、ネロ・カエサル(兄)、クラウディウス(叔父)、小アントニア(祖母)
気が狂いそうになる。
あわせて、刑死した人間も含めると、もはや表現していいレベルではない。そして、近親者でこのレベルであるのに、それ以外の友人知人ライバルも含めたら、はっきり言って吐き気ではすまない。
[編集] 細かい描写
この物語には、ローマ帝国の歴史に通じる人間にはたまらない描写がそれとなく差し込まれており、カリグラの名前の由来となった小さな軍靴や後のローマ帝国の元老院議員に任ぜられる馬「インキタトゥス」との出会い、カリグラに付き従う後の皇帝クラウディウスの吃音と足の障害、そしてその妻メッサリナの不貞など、後の歴史を知っている人間にはたまらない描写がそれとなく映像化されている。ただし、この物語はカリグラが皇帝になるまでの陰謀と、彼に付き従うアリエッティとの交際をメインに描かれているため本当に面白いエピソードを持つ連中の映像が極わずかしかないという不満も一部から聞かれる。特に、カリグラの親友であり、聖ペトロを逮捕、投獄し、結成されたばかりのキリスト教に大ダメージを与えたヘロデ・アグリッパ1世(別名「ヘロデ王」)の描写は、彼が皇帝に就任する前後にわずかに残されているにすぎず、歴史好きにとっては歯噛みするばかりである。
しかし、逆に歴史好きにとって最もたまらないのはローマの軍政が細部にまで描かれている点が挙げられる。特に、カリグラが幼い頃から軍部の中で生きていたこと、兵士たちの間で圧倒的な人気があったこと、それに対して元老院からは徹底的にきらわれていたことが事細かに描かれている。最も、彼の残忍で暴虐であったという視点は、実は敵対する元老院側からのものであり、ローマ市民からの人気が総じて高かったことなどもナレーションに説明させている。あわせて、現代にも残る彼の様々な伝説、近親相姦や神格化、狂気を得るにいたった背景などが様々な視点から詳細に説明されている。
正直なところ、その部分の音声だけでR18指定になってもおかしくはないけれど。
ただし、言っていることはごくまともであり、ナレーションはその狂気についても後世の歴史家たちは熱病やてんかんを理由にしていると述べている。もっとも、この物語のラストシーンでアリエッティを殺さざるをえなかったその政治的決定の後で、玉座の上で抜け殻となりつつ邪悪な微笑みを浮かべるというカリグラの描写と、カーテンによって彼の姿が見えなくなった後に聞こえてくる絶叫という、この物語最大の見せ場のわずか3分後にこのナレーションを持ってくるのは、少し早すぎる気もしなくはない。