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出版差し止め 「表現の自由」が心配だ 12月1日(水)

 報道、言論に携わる者として残念な事態が起きた。ネット上に流出した国際テロ関連文書が出版された問題で、東京地裁が出版社に対し出版、販売を禁ずる仮処分決定をした。

 個人情報を掲載された人が仮処分を申し立てていた。

 申立人の弁護士によると、本には国籍や氏名、顔写真、家族構成など、プライバシーにかかわる情報が記載されている。国際テロにかかわる文書である。下手をすると名前が載った人に身の危険が及ぶかもしれない。

 緊急避難の色彩も帯びた仮処分決定と受け止めたい。

 「言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」。憲法21条はうたっている。出版の自由は民主社会を維持する上で必要不可欠なものである。

 裁判所も尊重する姿勢を保ってきた。出版の差し止めが認められたのは、1979年の「北方ジャーナル事件」や、2002年に最高裁で判決が確定した作家柳美里さんの小説「石に泳ぐ魚」の例があるくらいだ。

 今回、差し止めを認めた理由について裁判長は、(1)掲載されている個人情報は公共の利益にかかわらない(2)テロ犯罪の容疑者であるかのような記述がある−などと述べている。

 内容から見て保護に値しない、というのだろう。ネット情報を生の形で本にするのは、安易な面があるのは事実だ。

 本に載せた情報は今もネット上を流れているという。ネットに詳しい人なら手に入れるのは難しくないといわれる。

 だからといって活字で広めていいことにはならない。出版社としての見識を問われる。

 出発点には公安情報の流出という不手際があった。警察は情報管理のずさんさを責められてしかるべきである。

 出版した背景に、警察の姿勢に対して問題提起する意図があったとしたら、個人名や顔写真は伏せるやり方もあった。出版社は真意を疑われても仕方ない。

 内容に疑問のある本は差し止められて当然−。こんな空気が広がらないか心配だ。

 警察は情報が本物とは今も認めていない。認めれば捜査の蓄積が白紙に戻りかねないからだ。そのため、警察自身は善後策を講じられない状況に陥っている。

 被害の拡大を防ぐには、警察が文書を本物と認めるのが出発点になる。流出の原因を調べ対策を講じて、不安の拡大を防ぐべきだ。

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