2010年11月26日付 朝日新聞東京本社朝刊から
朝日新聞社は、10月15日付朝刊の記事「臨床試験中のがん治療ワクチン 『患者が出血』伝えず 東大医科研、提供先に」などに対して東京大学医科学研究所から寄せられた「抗議及び謝罪・訂正請求書」、同じく医科研の清木元治所長からの「質問状」に反論する回答書を送った。全文を26日、朝日新聞の医療サイト・アピタル(http://www.asahi.com/apital/)に掲載した。
医科研ヒトゲノム解析センター長の中村祐輔教授が、がんペプチドワクチンのペプチド(たんぱく質の断片)の開発者であるとした記事の記述について、「抗議及び謝罪・訂正請求書」などは、本臨床試験のペプチド開発者は中村氏ではないと指摘。これに対して回答書は、医科研が開発したペプチド全体について、中村氏がワクチンの探索や実用化を進める過程で主導的役割を果たしていたことを、中村氏の著書などを示し説明している。
また、臨床試験の実施状況や取材開始日など寄せられた質問には、一つひとつ具体的に反論している。
回答書はさらに、清木所長が医科研のウェブサイトに掲載している文章で、記事中の関係者のコメントを「ねつ造」などと述べていることについて、事実に反し、社の名誉を傷つける記述だと指摘し、撤回を求めている。