【北陸発】立山の『氷体』 流動確認 国内初の氷河、可能性濃厚2010年12月1日
富山県の北アルプス・立山連峰で発見された国内最大級の氷の塊「氷体」が流動しているのが確認され、日本で初の氷河である可能性が高いと、立山カルデラ砂防博物館(同県立山町)が発表した。氷河と確定すれば、これまでロシア・カムチャツカ半島以北にしかないとされていた極東アジアの氷河の分布図が大きく南に下がる。 同博物館の飯田肇学芸課長(55)と福井幸太郎学芸員(37)が三十日、東京都立川市の国立極地研究所であった「極域気水圏シンポジウム」で発表した。 流動を確認したのは、雄山(三、〇〇三メートル)東側斜面にある御前沢雪渓の氷体で、長さ約七百メートル、幅最大二百メートル、厚さ最大三十メートル。 八月下旬に氷体の十五カ所に深さ三メートルの穴を開けてポールを設置し、衛星利用測位システム(GPS)で測定した。 標高が低い氷体下部で三十九日間に北東の方向に最大三十センチの流動を確認。十月上旬の五日間には、より精度の高いGPS機器で調べ、下部氷体の中央部分で約三・二センチの移動を観測した。同博物館は年に二・三メートル流動すると推測している。 万年雪が固まる氷体は北海道や長野県にもあるが氷河は流動が条件。福井学芸員は「氷河の確定には長期の観測が必要で、今後、数年間は観測を続けたい」と話している。 (山田晃史)
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