2010年12月1日0時18分
今回の世界経済危機後、我が国機械産業(自動車などを含む)の国際競争力に、回復の兆しは見えていない。
日本機械輸出組合では、1998年度から日米欧アジアの4地域に本社を置く機械関係企業の国際競争力を、世界シェア×営業利益率で測定している。それによると2009年度では、日本企業は前年度の最下位から米国企業、アジア企業に次ぐ3位になった。
しかし、それは在庫圧縮や材料費・広告宣伝費・研究開発費などの削減によって営業利益率を高めたことと、世界シェアが若干拡大したことによる。だが、シェア拡大は、円高により国内販売額がドルベースで膨らんだためで、競争力が強化されたとは言えない。
長期的傾向では、米国は常にトップで、09年度は他との差を更に広げている。一方、日本は、欧州を抜いて順位を上げたものの、アジアに次ぐ位置は変わらない。つまり、世界の製造業の約6割を占める機械産業の国際競争力では、日本企業は既に韓国、中国、インドなどのアジア企業全体に追い抜かれているのだ。造船、家電、半導体、通信機器、コンピューターでは完全にアジア企業の後塵(こうじん)を拝している。
日本企業は今、内外企業との合併、事業統合、提携などによって開発・生産・販売体制の強化を図り、また、独創的な製品・サービスで競争力の回復に努めているが、問題は国としての国際競争力強化対策が徹底的に遅れていることである。
法人実効税率の高さ、自由貿易協定(FTA)締結の遅れは致命傷になる。さらに、教育課程でのグローバル人材の育成、中小企業の海外展開支援、優秀な海外企業や人材の招請が早急に求められている。(創)
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「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。