宮崎県で発生した家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)への行政の対応などを検証するために農林水産省が設置した外部有識者による「口蹄疫対策検証委員会」は24日、最終報告書をまとめた。種牛など一部の家畜に特例的な扱いをすることを一切認めるべきでなく、人や物品、車両の出入り記録を畜産農家に義務づけるべきだなどと提言した。
最終報告書は、中間報告や関係者へのヒアリングなどを基に、問題点と改善への提言などを記載。宮崎県所有の種牛を移動制限区域から移動させるなどの特例を容認した点について、「多くの混乱をもたらし、県と国に対する畜産農家の不信感を深めることになった」と批判した。
5月19日に実施を決めた健康な家畜へのワクチン接種については、既に発生件数が増加していたことなどから「結果的に決定のタイミングは遅かった」と指摘した。1例目の検体の検査機関への送付が遅かった県の対応も問題視した。
一方、農水省の「口蹄疫疫学調査チーム」も24日、初期の発生農家へのウイルス侵入・伝播(でんぱ)経路などを示した「中間とりまとめ」を発表した。初発農家(6例目)へのウイルス侵入日と家畜の発症日をそれぞれ3月19、26日と推定。「外部からの人の移動で侵入した可能性は否定できない」としたが、訪問者の記録がなく「これ以上調査、検証は困難」と結論づけた。
2番目に発生したのは1例目の農家と推定し、初発農家から人によって伝播した可能性を指摘した。【佐藤浩】
毎日新聞 2010年11月24日 20時58分
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