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【産経抄】
このニュースのトピックス:産経抄
99年前、外交とは「祖国のために偽りを言う愛国的な技術」だと、A・ビアスは「悪魔の辞典」で喝破していた。内部告発ウェブサイト「ウィキリークス」が暴露した米外交公電には、外交官たちの偽りなき本音が満載で、これでは外交どころかご近所づきあいもできまい。
▼フランスのサルコジ大統領は「裸の王様」で北朝鮮の金正日総書記は「締まりのないオヤジ」。ロシアのメドベージェフ大統領に至っては「プーチン(首相)バットマンの助手役のロビン」とこきおろされている。
▼日本の首相評は、毎年代わるためか論外なのか流出していないが、元気のない菅直人首相には何よりだった。他人の家に土足で踏み込むごとく国後島を訪れたロビンに大した抗議もできなかったのだから。
▼ネット時代が到来し、情報は瞬時に世界を駆け回るようになった。米国ではホワイトハウスや軍、国務省の担当者がネットで秘密情報を共有し、テロ対策は強化されたが、共有者が増えれば増えるほど、リスクが高まるのは自然の理だ。
▼尖閣ビデオも現場から遠く離れた神戸の漫画喫茶から流れ出た。ウィキリークスの創始者も海上保安官もカネ目当てでないから余計やっかいだ。いくら政府が情報統制を強めても「正義の味方」は次々と出てくるだろう。
▼昭和の後期、某首相の秘書官は、与党幹部に連絡を取るとき、封書を信頼できる使いの者に持たせた。盗聴を恐れたからだが、携帯電話やパソコンに慣れたいまの政治家や官僚はあまりにも無防備過ぎる。本当に秘密にすべき事柄は、携帯で話さない、ネットに流さない習慣をつけるべきだ。尖閣ビデオは秘密にすべき事柄でもなんでもないのは、言うまでもないが。