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きょうのコラム「時鐘」 2010年12月1日
領海を「0・001ミリ」でも侵略すれば躊躇(ちゅうちょ)なく軍事的打撃を加えると叫んだのは、韓国領土を砲撃した北朝鮮である
これに対し韓国政府は「挑発には応分の対価を」と抑制をきかせたが、軍は2兵士の告別式で「100倍、1000倍」にして返すと憤りをあらわにした。北朝鮮に非があるのは言うまでもないが、極端な数字が飛び交うのは危険なことである 日本にも登場した。菅首相の「支持率が1%になっても辞めない」の発言である。意図と違って伝わったと釈明したが、とんでもない数字である。あり得ない話だが、今の菅首相ならあり得ると、国民が思うところに問題がある 極端な数字が飛び出す背景には、それを受け入れる社会の興奮状態がある。戦中戦後に「一億一心」や「一億総懺悔(ざんげ)」の空疎な数字がスローガンになった苦い時代がある。大言壮語を増幅させる異様な数字は、社会の危険信号だ 首相の1%発言は覚悟を示す言葉であって「数字に意味はない」と官邸筋は打ち消しに躍起だった。確かに数字に意味はない。が、意図はある。極端な数字は末期現象の象徴とも言えまいか。 |