民主党の小沢一郎元代表の資金管理団体「陸山会」が昨年の衆院選前の7月、小沢氏から3億7千万円を借りた2日後、関係の深い政治団体「改革フォーラム21」から政党支部を迂回して同額の寄付金を受け小沢氏に返済していたことが30日、公表された2009年分政治資金収支報告書で分かった。
小沢氏からの借入金を原資に、陸山会から民主党の公認候補計89人に計4億4200万円が支出されていた。
政治資金規正法では、政党や政治資金団体以外の政治団体が、同一の政治団体に年間5千万円を超えて寄付することを禁止。このため、改革フォーラムは直接陸山会に寄付せず、規制のない政党支部を間に挟んだとみられ、規正法の限界が浮き彫りとなった。小沢氏側は「適正に処理した」としている。
陸山会は報告書の虚偽記入事件の舞台にもなった団体。この複雑な資金操作の結果、2009年分の収入は前年の約1億6千万円から大幅に増えて約9億1千万円となり、政治家個人の団体の収入としては断トツの1位となった。
報告書によると、陸山会は昨年7月20日、小沢氏から3億7千万円を借り入れ、衆院が解散した翌21日に、公認候補計89人に計4億4200万円を支出。小沢氏が候補らの選挙資金を負担した形になっていた。
ところが、改革フォーラムは21日に3億7千万円を、小沢氏が代表を務める「民主党岩手県第4区総支部」に寄付、第4区総支部は翌22日に陸山会に同額を寄付した。陸山会はその日のうちに小沢氏に借入金を返済しており、結果的に候補者らへの支出の大半は、改革フォーラムの寄付金で賄われたことになる。
陸山会は2004年にも土地購入費に充てるため、小沢氏から4億円を借り入れ、これを報告書に記載しなかったなどとして刑事事件に発展。小沢氏を起訴すべきと議決した検察審査会は、陸山会がこの時に銀行からも同額を借り入れたのは不自然と指摘していた。
今回も候補者らへの支出は、改革フォーラムからの寄付があれば、小沢氏から借り入れなくても可能だったと考えられる。小沢一郎事務所は、こうした複雑な資金移動の理由を尋ねた質問に「法に基づき、適正に処理しており、報告書の通り」とだけ回答した。
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