来春の統一地方選で党勢拡大を目指す民主党の戦略に暗雲が広がっている。菅改造内閣発足後、与野党対決型となった注目の選挙で、大敗が続いているためだ。中央政界の逆風が地方を直撃している形で、党内には動揺も広がっている。 (関口克己)
自民党推薦の現職に民主党推薦の新人が挑んだ二十八日の和歌山県知事選は、約二十五万九千票対約七万六千票で惨敗。渡辺周選対委員長は「現職の壁は厚く、厳しい戦いになった」と指摘した。
今月十四日の福岡市長選では、当初は優勢とみられた民主推薦の現職が完敗している。十月の衆院北海道5区補選でも自民党に敗北しており「負け癖」がついているのが実情だ。
民主党は統一地方選で、積極的に候補者を擁立する方針。弱点といわれる地方議員を大幅に増やし、足腰を強化したい考えだが、最近の低迷ぶりに党内には「このままでは統一選は戦えない」(中堅議員)と悲鳴が上がり始めている。
こうした中、注目を集めるのが十二月の茨城県議選(定数六五)だ。民主党は現有六に対して二十四人の候補を擁立。勝てば勢いを取り戻せる半面、退潮傾向が決定的になれば、執行部は戦略見直しを迫られかねない。
岡田克也幹事長は二十九日の記者会見で統一選対策に関し「民主党政権になって変わったと有権者が実感してもらえる状況をつくり出していくことが基本だ」と強調したが、周囲に「民主党への風当たりは強い」と漏らしている。
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