沖縄県知事選は一つの「ねじれ」が影を落とした。宜野湾市の街中にある米軍普天間飛行場の移設先をめぐるねじれだ。日米合意の名護市辺野古をめざす民主党本部と、県外を求める地元の県連との溝は埋まらなかった
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政権を握る民主党が、自主投票とせざるを得なかった理由だ。県連の代表は、7月の参院選で再選をはばまれた喜納昌吉さんである。普天間の移設先について鳩山由紀夫前首相が「最低でも県外」とした公約を守ろうとせず、その裏切りを敗因に挙げていた
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喜納さんは著書「沖縄の自己決定権」で、この400年余の沖縄の歴史に触れている。江戸幕府誕生後の1609年には、薩摩藩による琉球王国侵攻で幕府の管理下に組み込まれる。明治維新後の1879年には、政府による「琉球処分」で王国が滅びる
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先の大戦では、島民を巻き込んだ地上戦の舞台となった。大変な数の人々が犠牲になっている。戦後は27年間、米国の統治下に置かれた。日本へ復帰してからも「基地の島」であり続けた。沖縄がずっと翻弄(ほんろう)されてきた401年間、と喜納さんは記している
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沖縄の人の目に映る米軍基地は、本土から見えるそれとは違うように思う。宜野湾市長として04年の普天間のヘリ墜落事故と向き合った伊波洋一さんは知事選に敗れた。選挙結果にかかわらず、普天間は県外へ−が民意だ。どうします、菅直人さん。