2010年10月2日 15時0分
大阪地検特捜部の主任検事による証拠改ざんを隠ぺいしたとして前特捜部長の大坪弘道容疑者(57)らが犯人隠避容疑で逮捕された事件で、大坪前部長らによる隠ぺい指示を裏付けるとされる物証を、最高検が主任検事のパソコン(PC)のデータを復元して入手していたことが分かった。大坪前部長らは改ざんを過失と弁解した主任検事の上申書を修正させる際「もっと分かりやすく書け」と告げていたことも判明。最高検は大坪前部長らの動機について解明を進めている。
検察関係者によると、主任検事の前田恒彦容疑者(43)=証拠隠滅容疑で逮捕=による証拠改ざんを知った大坪前部長と前特捜部副部長、佐賀元明容疑者(49)は2月上旬、東京に出張していた前田検事に電話。故意の改ざんと説明した前田検事に「過失として処理できないのか」と述べ、詳しい弁解を考えるよう指示した。
前田検事はこれを受け「USBメモリーにコピーしたデータをいじっていたつもりだったが、誤って証拠品のフロッピーディスク(FD)のデータを書き換えてしまった」という虚偽の説明を思いついたという。
前田検事はこの弁解を上申書案にまとめ、2月10日ごろ、大阪に戻って前部長らに見せたが、前部長らは「もっと、過失だと分かりやすく書け」と修正を指示。大坪前部長らは、上司の小林敬検事正に「問題ない」と報告したが、修正後の上申書を見せず、前田検事に返却したという。
前田検事はその後、この文書を廃棄し、文書の作成に使ったパソコンからも文書ファイルを削除したが、最高検は押収したパソコンを詳しく調べ、最近になって削除されたファイルの復元に成功。前田検事が文書を修正していたことが裏付けられたという。
調べに対し、前田検事は「2人に故意だと説明したが、過失で処理するよう指示され、弁解を考えた」などと一連の経緯を認める供述をしているとみられる。最高検は隠ぺいの動機などを詳しく調べているが、大坪前部長と佐賀前副部長は「過失だと認識していた」と容疑を否認しているとされる。