2010年11月30日3時0分
エイズ治療薬は20種類を超え、複数の薬を組み合わせてのむ「多剤併用療法(ART)」により、発症前に治療を始めれば約40年発症しないと考えられるようになってきた。ただし、どんな薬にも、効かない耐性HIVが必ず登場する。
注目されているのは、07年に発売が始まった「ダルナビル(一般名)」だ。従来の薬は標的が一つだったが、ダルナビルは標的が二つ。標的の片方が変異を起こして薬の攻撃を逃れても、もう一つ標的が残り、耐性が起きにくい。開発した満屋裕明・熊本大教授は「いわば二刀流の薬」と話している。
今年7月、約900人の女性が参加した南アフリカでの臨床試験の結果が注目を集めた。エイズ治療薬(濃度1%)入りのジェルを性行為の前と後の12時間以内に女性の体に塗ると、感染が約40〜55%減ったという。(大岩ゆり)