2010年11月29日22時57分
豪州の砂漠地帯に落ちていたはやぶさの回収カプセル=宇宙機構提供
小惑星「イトカワ」の微粒子回収に成功した探査機「はやぶさ」のカプセル開封を進めている宇宙航空研究開発機構は29日、回収容器をひっくり返して側面をたたいたら、新たに数百個の微粒子が出てきたと発表した。これまで顕微鏡ごしの細かい作業で苦労が続いていたが、「きわめて原始的」(宇宙機構)なやり方が意外にもうまくいった。会見で、宇宙機構の向井利典技術参与は「最初からやっていれば、すぐにたくさん見つかったかも」と苦笑した。
微粒子の大きさは100分の1〜10分の1ミリ程度で、イトカワから回収したとみられる岩石質のものも含まれている。回収容器に二つある小部屋の片方について作業が終わり、もう一方の小部屋に移ろうと、担当者が最後に念のため容器をひっくり返し、工具でたたいてみた。すると、予想を超える数の微粒子が出てきたという。
開封前にも、開けた直後にこうした「自由落下法」を試す計画を立てていたが、目視では空っぽだったため、やらなかったという。容器内部は複雑な構造をしているため、その後の採取作業は難航。極細の針で微粒子を一粒ずつつまみ出したり、採取専用のヘラを特注したり、骨の折れる作業が続いてきた。(小宮山亮磨)