前原誠司外相は30日の記者会見で、来春の菅直人首相の訪米時に発表する「同盟深化」の日米共同声明について「日米同盟の深化は普天間問題を横に置いても極めて大事だ」と述べ、米軍普天間飛行場移設問題の進展とは事実上、切り離して取りまとめる考えを示した。普天間問題が長期化せざるを得ないことをにじませた発言だ。
日米両政府は、今年の日米安全保障条約改定50年を機に同盟深化協議を開始。11月のオバマ米大統領来日時に文書を取りまとめる予定だったが、普天間問題の決着が遅れ、来春の首相訪米時に先送りした。しかし、28日の沖縄県知事選では県外移設を主張した仲井真弘多知事が再選。政府は地元説得の糸口をつかめていない。
前原外相は「県外移設を訴えて再選された方に(同県名護市)辺野古にお願いしたいと申し上げているわけで、そんな簡単に済む話ではない」と難しさを強調。そのうえで「期限を区切ってお願いするのは沖縄に対して非礼だ」と話し、首相訪米までの決着にこだわらず、慎重に進める姿勢を改めて示した。【西田進一郎】
毎日新聞 2010年11月30日 21時10分