SK創業者のおい、労働者をバットで殴打
雇用承継の拒否に抗議した運転手に暴行、口止め料も
財閥オーナーの親族が、雇用承継の拒否に抗議し、一人でデモを行っていた労働者をバットで殴打し、口止め料を渡していたことが分かり、警察が捜査に乗り出した。
ソウル地方警察庁の暴力犯罪対策係は、先月18日、SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長のいとこのチェ・チョルウォン氏(41)が、ソウル市竜山区の物流専門会社「M&M」の事務所で、アルミ製のバットを使い、タンクローリー運転手のYさん(52)を十数回殴打し、口止め料として2000万ウォン(約146万円)を渡したとして、捜査を進めている、と29日発表した。チェ氏は2002年にM&Mを設立し、今年3月まで代表取締役を務めていた。
被害者のYさんによると、昨年9月、タンクローリー運転手として勤務していた運送会社がM&Mと合併した際、雇用承継を拒否されたため、今年1月からM&Mの親会社であるSKの本社(ソウル市鍾路区瑞麟洞)前にタンクローリーを止め、一人でデモを行ってきた。その後、M&M側から連絡があり、「タンクローリーの売却交渉をするから事務所へ来てほしい」と言われたという。ところが、Yさんが事務所を訪れるや、役員7-8人に囲まれ、「土下座しろ」と言われ、チェ氏が出てきて、いきなり殴り始めたとのことだ。チェ氏はYさんに、「1台100万ウォン(約7万3000円)だ」と告げ、うつ伏せの姿勢を取らせて、アルミ製のバットで計13回殴打したという。Yさんが事件直後に撮影し、公開した写真を見ると、内ももや尻に青あざができ、唇からは小さな肉片が垂れ下がっていた。Yさんは「(チェ氏に)助けてくれ、と懇願したが、無駄だった。見守っていた役員の中に、止める者は誰もいなかった」と話した。その後、チェ氏はYさんに、口止め料として1000万ウォン(約73万円)の小切手2枚を渡すと共に、タンクローリーの代金として5000万ウォン(約366万円)を振り込んだという。
一方、M&Mの関係者は、「チェ氏は出張中で、来週帰ってくる予定だ。暴行事件については知らない」と話した。警察は「まずは被害者に対する事情聴取を行い、その後、チェ氏を呼んで事情を聴く方針だ」と説明した。
ハン・スヨン記者