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質問なるほドリ:常用漢字改定で、新聞の表記変わるの?=回答・伊藤直孝

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 ◆常用漢字改定で、新聞の表記変わるの?

 ◇「拘置」は今後「勾留」と表記 判決前の身柄拘束の場合

 なるほドリ 常用漢字表が改定されたけど、見慣れない字も多いなあ。「勾」っていう字はどんな時に使うの?

 記者 今後の記事で主に使われるのは「勾留」です。逮捕された容疑者や裁判中の被告の身柄を、警察の留置場や拘置所などに拘束することをいいます。これまで毎日新聞などは「拘置」と表記してきましたが、常用漢字表改定で本日付紙面から使用することになりました。

 Q へえ。逮捕された人は必ず勾留されるの?

 A いいえ。勾留するかどうかは検察官の請求を基に裁判所が決めます。刑事訴訟法によると、警察は逮捕から48時間以内に容疑者を釈放するか検察官に送らなければなりません。検察官に送ることを「送検」と言います。検察官は送検から24時間以内に裁判所に勾留を請求するかどうかを決めなければなりません。

 Q 検察官はどういう場合に勾留を請求するの?

 A 容疑者が逃走したり、事件の関係者と口裏合わせをするなど証拠を隠滅する恐れがあると判断したような場合です。請求を受けた裁判官は、裁判所に容疑者を呼び、弁解を聞いてから判断します。検察官が勾留を請求しなかったり、裁判官が勾留の必要がないと判断したら、容疑者は釈放されます。

 Q 裁判所が勾留を決めたらどうなるの?

 A 決定した日から10日間、容疑者の身柄を強制的に拘束することができます。その後さらに10日間、勾留が延長されることもあります。検察官は起訴するまで最大20日間、容疑者を拘束できるということです。起訴した後、判決が出るまでの間、身柄の拘束を続けることも勾留といいます。

 Q 勾留を使い始めると、拘置という表記はなくなるの?

 A いいえ、懲役など実刑判決が確定した受刑者を刑務所に拘束することは正式に拘置といい、今後は判決前の拘束を勾留、判決後の拘束を拘置と使い分けることになります。

 Q 辞書には「拘留」との表記もあるね。これも「こうりゅう」と読むけど、どう違うの?

 A 拘留は、比較的軽い罪を犯した人を最大29日間、刑務所などの刑事施設に拘置する刑罰の一種で、勾留とは全然違います。06年には山梨県の市議会議員が飲食店の女性客を「デブ」とけなしたとして刑法の侮辱罪に問われ、拘留29日間の判決を受けて話題になりました。(社会部)

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 ◇常用漢字表改定に伴い表記変更となる主な事件・法律関連用語

・覚せい剤→覚醒剤

(法律名の「覚せい剤取締法」はそのまま)

・禁固→禁錮

・拘引→勾引

(連行のこと)

・拘置→勾留

・名誉棄損→名誉毀損(きそん)

・わいろ→賄賂

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 なるほドリコーナーへの質問をお寄せください。〒100-8051(住所不要)毎日新聞「質問なるほドリ」係 naruhodori@mainichi.co.jp

毎日新聞 2010年11月30日 東京朝刊

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