【北京】内部告発サイト「ウィキリークス」が28日公表した25万件に上る米外交公電によって、中国とイランとの関係が再び注目されることとなった。公電によると、中国はイラン向けの弾道ミサイルと化学兵器に使用できる技術の移転や材料の輸送を阻止するよう求めた米国の要請に従わなかった。
これによれば、中国は2007年、北朝鮮が商業便を使って北京空港経由で行うイラン向け弾道ミサイルのコンポーネントの輸送を阻止するよう求めた米国の要請を再三無視した。
別の公電によると、クリントン米国務長官は今年2月、イランが中国企業から弾道ミサイル用のジャイロスコープと炭素繊維を購入しようとしているとの情報に基づいて中国に対処するように求めた。同国務長官はまた5月に、中国の企業が化学兵器用の物質をイランに供給していることに懸念を表明した。
クリントン長官は昨年、ペルシャ湾の米軍に対して使用できる仏製赤外線画像技術を中国企業がイランに売却していることに懸念を示した。
これらの公電は、中国が2002年に輸出規制を強化したにもかかわらず、イランの兵器計画を支援する材料や技術の拡散を中国が十分に阻止しようとしていないことへの米国の不安を反映したものだ。
こうした公電は米中関係が微妙になっているときに暴露された。中国は来年1月の胡錦濤国家主席の訪米を前に、ますます好戦的になっている北朝鮮を抑えるよう米国から圧力をかけられているのだ。
公電はまた、米国が、中国のコンピューター戦争能力、その中央アジア地域での影響力に懸念を抱いていることを示している。さらに、公電は米外交団の会議について当惑させられるような詳細を伝えている。
中国外務省は29日、コメントを発表しなかった。米国務省はこれまでも、この公表が違法だと指摘、多くの外国政府に連絡して外交的影響を最小限にとどめようとしている。国務省によると、クリントン長官は26日、楊潔チ中国外相と電話でこのリークについて話したという。
また、ある在北京米国大使館からの公電によれば、ある中国関係者は今年1月、中国共産党政治局が米政府コンピューターシステムとグーグルへのサイバー攻撃を命じたと述べたという。グーグルの広報担当者は「この攻撃が中国からのものであることを示す決定的な証拠を握っている」としながらも、詳細は述べなかった。中国政府はこのような攻撃には関与していないと繰り返し否定している。