2006-07-03
「鏡の法則」に突っ込んでみる〜2
鏡の法則(ハンカチを用意して読め!)
http://www.arai516.com/blog/2006/07/post_e7bc.html
この記事の元ネタ
http://coaching-m.co.jp/reportaaa.pdf
・・・チェーンメール化してるらしく、元ネタを調べたら、どうやらこの辺が元ネタらしい。
著者のブログ
何か、読んでる人の9割が泣いたとか書いてあるんだけど・・・泣けるのか?
で、B氏に言われるがままにうらみつらみを書き連ねるA子です。
A子は電話を切ると、レポート用紙を持ってきて、父に対する思いを、思
いつくままに書き始めた。
(中略)
気がついたら、正午を回っていた。
書き始めて2時間近く経っていた。
十数枚のレポート用紙に、怒りを込めた文章が書きなぐってあった。
容赦なく書いたせいか、それとも、思いっ切り泣いたせいか、気持ちがず
いぶん軽くなっていた。
まあ、出そうと思えばいくらでも出せるからなあ・・・
で、「泣く」のがミソです。
泣くことでカタルシスが得られるわけです。
恐らく、B氏もそれを狙ってたんでしょう。
A子は、午後1時を回ったところで、B氏に電話をした。
B氏「お父様をゆるす覚悟はできましたか?」
A子「正直なところ、その覚悟まではできていないかもしれません。だけど、できることは何でもやってみようと思います。ゆるせるものなら、ゆるして楽になりたいとも思います。」
ここがポイントというか。
完全に主軸が「息子のイジメ問題」から「自分自身の魂の救済」に摩り替わってるというか。
B氏「では、やってみましょう。お父様をゆるすのは、他でもない、あなた自身の自由のためにゆるすんです。紙を用意してください。そして、上の方に『父に感謝できること』というタイトルを書いてください。さて、お父様に対して感謝できるとしたら、どんなことがありますか?」
A子「それは、まず、働いて養ってくれたことですね。父が働いて稼いでくれたおかげで、家族も食べていけたわけですし、私も育ててもらえたわけです。」
B氏「それを紙に書き留めて下さい。他にもありますか?」
A子「うーーーん。私が小学生のころ、よく公園に連れていって遊んでくれましたね。」
B氏「それも書き留めておいて下さい。他には?」
A子「それくらいでしょうか。」
B氏「では、別の紙を用意して『父に謝りたいこと』ってタイトルを書いてください。さて、お父様に謝りたいことは、何かありますか?」
A子「特に浮かびませんが、あえて言えば、『心の中で反発し続けたこと』でしょうか。ただ、心から謝りたいという気持ちにはなれませんが。」
B氏「実感がともなわなくてもOKです。形から入りますから。とりあえず、今おっしゃったことを書き留めてください。」
A子「書き留めました。で、形から入るといいますと、何をやればいいのですか?」
・・・この時点で、何か似たような心理療法があったのを思い出したよ。
確か、「内観修行」だったような。
http://www.sphere.ad.jp/seicho/naikan/naikan.html
まあ、洗い出すのはまったく逆の内容だけどね。
で、内観修行で使われるのが。このお経だ。
父母恩重経
http://www2t.biglobe.ne.jp/~BokerTov/budda/index.html
・・・まあ、屑な両親でもマンセーしろという内容なんですが、内観法自体、結構批判の多い手法なんだけどなあ。
つーか、息子に内観させるならともかく、親に内観させる時点で何か違うような・・・
むしろ、従来の内観法だと、いやゆるACと言われてる層には却って自己否定植え付けるような気がしてならねえのですが。
基本的に、「息子の非を洗い出し、親を敬う」という考えなんで。あれは。
つーか、背後の事情を知らないで「親を敬え」と言ってる奴は信用ならんけどね。
俺自身、親に関していろいろ言われたので特に痛感するというか。
基本的に家族に対することは、ある種の聖域だと思うんで、マトモな人間でしたら言及避けますよ。
B
氏「いいですか、今から勇気の出しどころです。もしかしたら、あなたの人生で、一番勇気を使う場面かもしれません。私が提案することは、あなたにとって、最も抵抗したくなる行動かもしれません。実行するかどうかは自分で判断して下さいね。今から、お父様に電話をかけて、感謝の言葉と謝る言葉を伝えるのです。実感が湧いてこなかったら、用意した言葉を伝えるだけでもOKです。『父に感謝できること』と『父に謝りたいこと』の2つの紙に書き留めたことを、読んで伝えるだけでOKです。伝えたら、すぐに電話を切ってもらってかまいません。やってみますか?」
A子「・・・・・。たしかに、今までの人生で使ったことがないくらい、勇気を使わないとできませんね。でも、これが私の悩みの解決に役立つなら、
それだけの勇気を使う価値はあるんだと思います。だけど、難しいですねー」
B氏「やるかやらないかは、ご自分で決めてくださいね。私も、一生に一度の勇気を使う価値はあるとおもいますけど。それから私は、次の予定がありますので、このあたりで失礼します。もし実行されたらご連絡下さい。
次のステップをお教えします。」
何か、悪徳商法でローン申込書に判子押させるときのセールストークのような気がしないでもない。
で、A子さん、親御さんに電話するわけです。
父 「な、なんだ? わしに用事か?」
A子は、自分では何を言っているかわからないくらいパニックしながら話し始めた。
A子「あっ、あのー、私、今まで言わなかったんだけど、言っといたほうがいいかなーと思って電話したんだけど、・・・えーと、お父さん、現場の仕事けっこう大変だったと思うのよ。お父さんが頑張って働いてくれて、私も育ててもらったわけだし。あのー、私が子どものころ、公園とかも連れて行ってくれたじゃない。なんていうか、『ありがとう』っていうか、感謝みたいなこと言ったことないと思うのよ。それで、一度ちゃんと言っておきたいなと思って、・・・。それから私、心の中で、けっこうお父さんに反発してたし、それも謝りたいなと思ったの。」
ちゃんと「ありがとう」とは言えなかったし、「ごめんなさい」とも言えなかった。
だけど、言うべきことは一応伝えた。
しかし、父から言葉が帰ってこない。
「何か一言でも言ってくれないと、電話が切れないじゃないの。」そう思った時に、受話器から聞こえてきたのは、母の声だった。
母 「A子!あなた、お父さんに何を言ったの?」
A子「えっ?」
母 「お父さん、泣き崩れてるじゃないの!何かひどいこと言ったんでしょ!」
受話器から、父が嗚咽する声が聞こえてきた。
A子はショックで呆然とした。
・・・まあ、娘にこういわれたら泣かない父のほうが珍しいような気がしないでもない。
父親は娘に対して特別な感情持ってる場合が多いからなあ。なんていうのかな、息子に対する見方と違うというか。
(中略)
A子の涙も嗚咽へと変わっていった。
しばらくして、また母の声。
母 「A子!もう落ち着いた?説明してくれる?」
A子「お母さん、もう一度、お父さんに代わってくれる?」
父が電話に出る。
父 「(涙声で)A子、すまなかった。わしは、いい父親じゃなかった。お前にはいっぱいイヤな思いをさせた。うっ、うっ、うっ、(ふたたび嗚咽)」
A子「お父さん。ごめんなさい。私こそ悪い娘でごめんなさい。そして、私を育ててくれてありがとう。うっ、うっ、うっ(ふたたび嗚咽)」
少し間をおいて、再び母の声。
母 「また、落ち着いたら説明してね。一旦、電話切るよ。」
A子は、電話を切ってからも、しばらく呆然としていた。
何か、「これなんというテレビ東京の親孝行番組?」と言いたくなるような勢いなんですが。
20年以上もの間、父を嫌ってきた。
ずっと父を許せなかった。
自分だけが被害者だと思っていた。
自分は父の一面だけにとらわれて、別の面に目を向けようとはしなかった。
父の愛、父の弱さ、父の不器用さ、・・・これらが見えていなかった。
父はどれだけ辛い思いをしてきたんだろう。
自分は父に、どれだけ辛い思いをさせてきたんだろう。
いろいろな思いが巡った。
「まずは、形から入ればOKです。気持ちは、ついてきますから。」と言っ
「あと1時間くらいで、○○○(息子)が帰ってくるな。」
そう思った時に、電話が鳴った。
出てみるとB氏であった。
B氏「どーも、Bです。今、40〜50分くらい時間ができたので電話しました。さっきは、次の予定が入ってたので、お話の途中で電話を切ったような気がしまして。」
A子「実は私、父に電話したんです。電話して本当によかったです。ありがとうございました。Bさんには、言葉にならないくらい感謝しています」
A子は、父とどんな話をしたかを簡単に説明した。
B氏「そうでしたか。勇気を持って行動されて、よかったですね。」
A子「私にとって、息子がいじめられてることが最大の問題だと思っていましたが、長年父を許していなかったことの方が、よほど大きな問題だったという気がします。息子の問題のおかげで父と和解できたんだと思うと、息子の問題があってよかったのかな、という気すらします。」
この時点で息子さんの問題がまだ一ミリも解決してないどころか、重要な問題が摩り替わってます。
その上でこの発言。
どう見ても洗脳されてます。
つーか、そういう親だから息子も心開かないのではと。
B氏「息子さんについてのお悩みを、そこまで前向きに捉えることができるようになったんですね。潜在意識の法則というのがありましてね、それを学ぶと次のようなことがわかるんです。
人生で起こるどんな問題も、実は、自分に何か大切なことを気づかせてくれるために起こるんです。
つまり偶然起こるのではなくて、起こるべくして必然的に起こるんです。
ということは、自分に解決できない問題は決して起こらないのです。
起きる問題は、すべて自分が解決できるから起きるのであり、前向きで愛のある取り組みさえすれば、後で必ず『あの問題が起きてよかった。そのおかげで・・』と言えるような恩恵をもたらすのです。」
・・・だったら日本の自殺者数が年間3万人にもならねえと思うのだが?
むしろ、間違ったものの見方のような気が。
事実、愛だけじゃ解決できねえ問題は山ほどありますし。こういう考えって一種の思考停止だと思うんだよね。
この母親、そんなに丸投げする思考じゃないようで、こんな問いかけを出します。
A子「そうなんですね。ただ、息子の問題自体は何も解決していないので、
それを思うと不安になります。」
それに対する答えはこうです。
B氏「息子さんのことは、まったく未解決なままだと思っておられますね。もしかしたら、解決に向けて大きく前進されたのかもしれませんよ。心の世界はつながっていますからね。原因を解決すれば、結果は変わるしかないのです。」
A子「本当に息子の問題は解決するんでしょうか?」
…「もしかしたら」「かもしれませんよ」と根拠のない自信付けをさせてるところがいやらしいですねえ。
心の世界はつながっていますからね。原因を解決すれば、結果は変わるしかないのです。
…それこそ根拠のない決め付けだと思うのだが?
原因を解決しても、場合によっては結果が変わらないこともあると思うが?あくまでも結果には時系列がついてきてるわけだし。
原因に対するアクションのタイミングによっては、結果が変わらんままになることもある。
丁度コミットした後に原因を修正しようとして修正しても、コミット以前の状態には完全に戻らんことがあるのと一緒で。
>>
B氏「それは、あなた次第だと思いますよ。さて、ここで少し整理してみましょうか。あなたにとって、息子さんのことで一番辛いのは、息子さんが心を開いてくれないことでしたね。親として、何もしてやれないことが情けなくて辛いとおっしゃいましたね。その辛さをこれ以上味わいたくないと。」
ここで問題が摩り替わってます。
もともとは、息子のいじめ問題に対する相談だったと思うのだが…
A子「はい、そうです。いじめられてることを相談もしてくれない。私は力になりたいのに、『ほっといて!』って拒否されてしまう。無力感を感じます。子どもの寂しさが分かるだけに、親として、何もしてやれないほど辛いことはありません。」
基本的に苛められてるやつは、苛められてる事実を「恥ずべきもの」と認識していることが多いです。
なので、苛めの有無を問うという行為自体が、息子を追い詰めることになりかねないです。
息子自身、本当に恥ずべき事実だと認識してなきゃ、親に相談してるだろうし。
なので、この手の問題って、まわりが気づいて、本人に見えないところでフォローするというのがいいんですがね。
例えば、担任の教師に相談したりとか、状況が酷い場合は児童相談所を使うとか。
まあ、俺が碓井先生に切れたのもそういうところにあるんですよね。本来は比較的いじめられっこ寄りになるべきスクールカウンセラーがいじめを擁護する発言してることで、悩んでる子供だけでなく、親にも相談の門戸を閉ざさせるというか。
B氏「本当に辛いことでしょうね。ところで、その辛さは、誰が味わっていた辛さなのか、もうお分かりですよね。」
A子「えっ?誰がって・・・(しばらく沈黙)」
何か、問題の摩り替えメソッドの一部始終を見たような。
実際、思惑通りはめられてますし。
その時、A子の脳裏に父の顔が浮かんだ。
そうだ!この耐えがたい辛さは、長年父が味わい続けたであろう辛さだ。
娘が心を開いてくれない辛さ。
娘から拒否される辛さ。
親として何もしてやれない辛さ。
私の辛さといっしょだ。
この辛さを、父は20年以上も味わい続けたのか。
A子のほほを涙が伝った。
A子「わかりました。私は、私の父と同じ辛さを味わっていたんですね。こんなに辛かったんですね。父が嗚咽したのも分かります。」
B氏「人生で起こる問題は、私たちに大事なことを気づかせるべく起こるんです。」
…えーと、息子がいじめられてるという問題はどうなったんだ?
A子「あらためて父の辛さが分かりました。息子のおかげで、分かることができたんだと思います。息子が私に心を開いてくれなかったおかげで。」
B氏「息子さんもお父様もあなたも、心の底ではつながっています。お父様に対するあなたのスタンスを、あなたに対して息子さんが演じてくれたわけです。そのおかげで、あなたは気づくことができた。」
A子「息子にも感謝したいです。『大事なことに気づかせてくれて、ありがとう』って気持ちです。今まで、『どうしてお母さんに話してくれないの?』って心の中で息子を責めていました。」
…見たところA子って人、多少他人の影響受けやすいけど、一応思考を丸投げする感じじゃないんだけど、問題が摩り替わったことすら気づいてないし。
何か、この勢いで壷売ったら土地担保に入れて買いそうな勢いだと思うのは俺だけでしょうか?
割と普通っぽい人でもそうなるからなあ。カルトにはまる奴が出るのもわかるような気がした。改めて。
カルトの勧誘やる奴は、多分B氏以上に詭弁のスペシャリストだろうし。
B氏「今なら、息子さんの気持ちも理解できますか?」
A子「そうか!私が子どものころ、口うるさい父がイヤでした。いろいろ口出ししてきたりするのがイヤでした。今考えてみれば、それも父の愛情からだったんでしょうが、当時は負担でしたね。今、息子も同じ思いなんだと思います。私の押し付けがましい愛情が負担なんだと思います。」
B氏「あなたが子どものころ、本当はお父さんに、どんな親でいてほしかったんでしょうね?」
A子「私を信頼してほしかった。『A子なら大丈夫!』って信頼してほしかったです。・・・(しばらく沈黙)。私、息子を信頼していなかったと思います。『私が手助けしないと、この子は問題を解決できない』と思っていました。それで、あれこれ問いただしたり、説教したり、・・・。もっと息子を信頼してあげたいです。」
…おーい。息子のいじめ問題はどうなったんだー。
B氏「あなたは、お父様の辛さも理解し、息子さんの辛さも理解されましたね。では次に、ご主人とのことに移りましょう。朝お電話をいただいた時に、『あなたの大切な息子さんが人から責められてしまう原因は、あなたが身近な誰かを責めてしまっていることです』とお話したのを覚えていますか?」
A子「はい、覚えています。主人を尊敬できないという話をしました。」
B氏「ではもう一度、ご主人に対してどんなふうに感じておられるか、話してもらえますか?」
A子「どうしても、主人に対して、『教養のない人』とか『思慮の浅い人』というふうに見てしまうんです。息子の問題に対しても、私がこれだけ悩んでるのに、根拠なく楽観的なんです。それで私は、主人に対しては、グチこそはぶつけますが、ちゃんと相談したりすることはありません。主人がアドバイスなどしてきても受け付けられないんです。」
ここまで話しながらA子は、自分の夫に対するスタンスが、父親に対して取ってきたスタンスに似ていることに気がついた。
A子「私が父に対して取ってきたスタンスと似てますね。」
B氏「そうなんです。女性の場合、父親に対してとってきたスタンスが、ご主人に対してのスタンスに投影されることが多いんです。ところで、お聞きしていると、ご主人は息子さんのことを信頼されているようですね。」
…そんなの各家庭によって違うと思うのだが?
つーか、A子の話には、旦那と息子の関係が全然出てないのですが?
A子「あっ、そうですね!そうか、主人のそういうところを見習うべきだったんですね。息子は父親に対しては、けっこう本音を言っているみたいなんです。息子は父親から信頼されてると思うから、父親には心を開くんですね。私は主人のよいところをまったく見ていませんでした。」
…基本的に小学5年生ぐらいになると、ある程度性差が出るから、同姓のほうが話しやすくなるのですが?
信頼するされるではなく、同じ性による親近感が出てくるしね。あとはその時期特有の悩みは、同性のほうが「一度は通った道」なので比較的話しやすいだろうし。
なぜ父親に対して相談するかのポイントが違うのだが。
B氏「なるほど、そんなことを感じられたんですね。さて、では宿題を差し上げます。やるかどうかは自分で決めてくださいね。今日の午後、『父に感謝できること』と『父に謝りたいこと』という2種類の紙を作ってもらいましたよね。その紙に、お父様に感謝できることと謝りたいことを、書き出せるだけ書き出して下さい。紙は何枚使ってもOKです。それが終わったら、もう一つ紙を用意してください。その紙のタイトルは、『父に対して、どのような考え方で接したらよかったのか?』です。これは過去のお父様との関係を後悔するために書くのではありません。これからのご主人との接し方のヒントが見つかるはずです。そしてもう一つ、息子さんが夜眠られたら、息子さんの寝顔を見ながら、心の中で息子さんに『ありがとう』を100回ささやきかけてください。どうですか、やってみたいですか」
A子「はい、必ずやってみます。」
…完全に内観メソッドと父母恩重経メソッドのダブルコンボですね。
ちなみに俺は両方ともあまり好きではないのですが。
つーか、内観信者って下手すりゃ一種のカルトのように思えるのは俺だけでしょうか?
電話を切って間もなく、息子が帰ってきた。
息子はランドセルを玄関に投げると、いつものようにグローブとボールを持って、公園に行った。
「昨日、友達に追い出されたというのに、この子は、また公園に行くの?」
A子の心は心配な気持ちでいっぱいになった。
A子は、その心配な気持ちをまぎらわすように、宿題に取りかかった。
(めちゃくちゃ長くなったので割愛)
…典型的な内観のディテールが記されてます。
つーか、この時点で息子に対するいじめという問題は1ミリも解決してないことに気づいてないようです。
そんなことを考えているうちに、外が薄暗くなりかけていることにA子は
気がついた。
思えば、今日は家事らしきことをほとんどしていない。
朝の9時ごろB氏に電話してから、1日中自分と向き合っていた。
えらい暇というか。
で、息子の苛め問題だが…
「晩ご飯の用意、どうしよう?」
そう思った時に、息子が帰ってきた。
息子「ねえ、お母さん聞いてよ!」
A子「どうしたの?何かあったの?」
息子「C君知ってるでしょ。実は昨日、C君に公園でボールぶつけられたんだ。」
A子「あっ、あー、そうなの。C君って、あなたを一番いじめる子だよね。」
息子「さっき公園から帰ろうとしたらC君が公園に来てさー。で、『いつもいじめててごめんな』って言ってくれたんだ。」
A子は「そうだったの!」と言いながら、まるで奇跡でも体験しているような気持ちになった。
こんなことが偶然起きたとは思えなかった。
そして、心から感謝の気持ちが湧いてきたのだった。
…えーと。息子の苛めに対する問題は息子が自己解決したようです。
つーか、完全に偶然だろ?
この母親の内観修行と息子のいじめが解決したことについては1ミリも因果関係がねえですし。客観的に見ても。
A子は、夕食の準備をするより息子と話そうと思い、出前を取った。
出前が届くまでの間、A子は息子に次のようなことを伝えた。
「今まで、あなたのことに口出しをし過ぎてごめんね。これからは、なるべく口やかましくしないように気をつけるからね。そして、お母さんの助けが必要な時は、いつでも遠慮なく相談してね。あなたのことを信頼してるからね。」
息子は本当に嬉しそうな顔をして、「わかった、ありがとう」と答えた。
やはり息子は、母親に信頼してもらいたかったのだ。
「今日は、なんか変だなー。いいことが続くなー。」と息子が続けた。
A子も幸せな気持ちになった。
そりゃいじめ問題がなくなったら息子もうれしくなるよな。
間もなく出前が届いた。
A子「お母さんは、お父さんが帰ってくるのを待つから、先に食べてね。」
息子「えっ?どうしたの?いつもは先に食べるのに。」
A子「今日は、お父さんといっしょに食べたい気分なのよ。お父さん、お仕事頑張ってくれて、疲れて帰ってくるからね。一人で冷めた親子丼たべるの、寂しいでしょ。」
息子「じゃー、僕もお父さんといっしょに食べる!三人で食べる方が楽しいでしょ。」
A子「ほんとうにあなたは優しい子ね。お父さんに似たのね。」
息子「なんか変だなー。いつもお父さんのことを、『デリカシーがない』とか言ってるのに。」
A子「そうよね。お母さんが間違ってたのよ。お父さんは、優しくて男らしくてたくましくて、・・・男の中の男よ。」
息子「勉強しないと、お父さんのような仕事くらいしかできなくなっちゃうんでしょ?」
A子「ごめんね、それもお母さんが間違ってたのよ。お父さんの仕事は立派な仕事。世の中の役に立ってるのよ。それに、お父さんが働いてくれてるおかげで、こうやってご飯食べたりできるんだからね。お父さんの仕事に感謝しようね。」
息子「お母さん、本当にそう思う?」
A子「うん、思うよ。」
…確かに旦那に対する接し方はだいぶマシというか、今までが酷すぎたのだが?
専業主婦である以上、稼ぎ頭には一定の敬意を払うべきだっただろうし。
これは論外だろって。稼いで食わして貰ってる以上言うべき言葉じゃねえ。
A子の言葉は、息子に対して、「お父さんを尊敬してもいいよ」という許可を与えたことになる。
息子はそのことが何よりも嬉しかったのだ。
しばらくして夫が帰って来て、三人で冷めた親子丼を食べた。
自分の帰りを待っていてくれたことが嬉しかったのか、夫も上機嫌だった。
夫が風呂に入っている間に、息子が眠りについた。
A子は息子の寝顔を見ながら、心の中で「ありがとう」を唱え始めた。
「この子のせいで私は悩まされてると思ってきたけど、この子のおかげで
大切なことに気づけた。本当は、この子に導かれてたのかもしれない。」
そう思っていると、息子が天使のように見えた。
いつの間にか、涙があふれてきた。
(ほんとに今日は、よく泣く日である)
(以下、つらつらと「三丁目の夕日」を安っぽくしたシーンが繰り広げられる)
これ何というホームドラマって感じなんですが。
思わず「花王」がスポンサーになってないか調べてしまいました。俺。
次の日、A子はB氏に報告して、心からのお礼を伝えた。
朝一番で夫からも電話を入れていたようだ。
B氏「ご主人からも電話もらいました。お役に立てて何よりです。あなたの勇気と行動力を尊敬します。さて、これからが大切です。毎日、お父さまとご主人と息子さんに対して、心の中で『ありがとうございます』という言葉を100回ずつ唱える時間を持って下さい。それから、ジャンポルスキー博士という人が書いた『ゆるすということ』という本がおすすめです。後で、おすすめの本を何冊か選んで、そのリストをFAXしておきますので、ぜひ買って読んで下さい。」
これなんというナポレオンヒル?
つーか、これをプッシュしてる野口 嘉則氏自身が一種のナポレオンヒルみたいな感じだからなあ。
チェーンメールを広げたのも彼じゃないのかって気がしないでもない。
丁度いいタイミングで、この話が刊行化されてるしね。
まあ、ネタとしてみるには面白すぎるが。悪徳商法、マルチ商法、新興宗教勧誘関係者にはオススメかもしれないです。
「こうすれば相手が洗脳できるんだな」のケーススタディーになるわけだし。
えーと、これを広げた野口氏も色んな企業研修に引っ張りだこなんですが…
とりあえず彼を講師に呼んでる会社への転職は避けたいです。俺。
社長が洗脳されやすい会社に入った日には、気がついたら朝礼で「威風堂々の歌」(創価の学会歌)が歌われてるという洒落にならねえ状況になりかねねえんで。