2010年11月29日20時49分
【ジュネーブ=前川浩之】スイスで28日、罪を犯した外国人を国外退去させる憲法改正案についての国民投票があり、52.9%の賛成多数で承認された。同国では昨年11月、イスラム教礼拝所のミナレット(尖塔〈せんとう〉)の建設を禁止するための憲法改正も国民投票で認められており、排他的な動きが加速しているとの指摘が出ている。
今回の改正により、殺人や強盗を犯したり、社会保障を悪用したりした外国人は自動的に強制退去の対象となる。該当者に抗弁の機会を与えない規定のため、欧州人権条約などに違反する可能性が高いが、シモネッタ・ソマルガ法相は「結果を真剣に受け止める」とし、関連法規の見直しに着手すると表明した。
約20万人の署名を元に国民投票に持ち込んだ右翼与党・国民党はミナレット建設禁止に続く、「反移民キャンペーンの成功」と位置づけている。