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政治資金報告書:要旨非掲載 検証不可能、制度が後退

 07年の政治資金規正法改正は、松岡利勝元農相らの不透明な事務所経費など「政治とカネ」問題が相次いだことを受けて議員立法で行われ、国会議員関連団体の監査などが義務づけられた。

 しかし当時、与野党の実務者協議に参加した佐々木憲昭衆院議員によると、議員による合意文書に官公報への要旨掲載免除の規定はなかったという。佐々木氏は「合意文書を事務局が法案化した段階で入っていた。案文作りは総務省がやっていたはずだ」とし、07年12月19日の衆院政治倫理確立・公選法改正特別委(倫選特)での採決では、他の理由もあって法案に反対した。

 総務省政治資金課は「議員立法なので(総務省側が)入れたということはない」と否定する。だが、同日の倫選特で、当時の久元喜造・総務省選挙部長は「実務の観点から(実務者協議のメンバーに)説明させていただいた」と答弁している。

 小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体の土地購入を巡る政治資金規正法違反事件など、4年以上前の政治資金の流れが焦点になるケースは少なくない。

 総務省は事務量増加を理由にするが、要旨掲載とネット公開の双方を行う岩手県と東京都の両選管は「作業量的に問題はない」としている。ネット公表が利便性をもたらすのは確かだが、引き換えに情報が3年で消えてしまえば、主権者・国民にとっては制度の後退でしかない。要旨が永久保存されるよう、早急に手を打つべきだろう。【日下部聡】

毎日新聞 2010年11月19日 2時39分(最終更新 11月19日 2時56分)

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