F1:国際スポーツイベントの光と影

2014年仁川アジア大会、1兆3000億ウォンの建設費が悩みの種

 フォーミュラ1(F1)グランプリのような大型スポーツイベントの準備に奔走した地方自治体は、その後、事業費や施設維持費の問題で苦戦している。釜山市は2002年のアジア大会開催のために建設したメーンスタジアムに、2269億ウォン(約166億円)の税金(国費670億ウォン=約49億円、市費1599億ウォン=約117億円)を投入した。その後、同スタジアムは主にプロサッカー・Kリーグの試合に使われているが、昨年の年間使用日数は50日程度にすぎなかった。

 このほか、アジア大会に合わせ、7178億ウォン(約525億円)の税金を投じて建設されたほかの競技施設も、似たような状況だ。これらの競技施設を維持するために、市は毎年160億ウォン(約12億円)の予算を計上しているが、収入はその3分の1程度だ。

 専門家たちは、「スポーツイベントを招致する際、経済効果を強調するのはほとんど詐欺のようなものだ」と指摘する。

 仁川市は2014年のアジア大会開催を控え、頭を抱えている。メーンスタジアムや16の競技施設の建設に、約1兆3000億ウォン(約949億円)の費用が掛かるが、国費からの支援は微々たるものだからだ。国費からの支援がうまくいかなければ、地方債を発行しなければならないが、同市は現在、7兆ウォン(約5110億円)以上の負債を抱えているため、悩みは深まる一方だ。

 カナダのモントリオール市は、1976年の五輪開催によって3兆ウォン(約2190億円)もの赤字を計上し、債務を返済するため、最近まで苦労を強いられた。2000年のシドニー五輪、04年のアテネ五輪、08年の北京五輪といった大部分のスポーツイベントは莫大(ばくだい)な赤字を残して閉幕を迎えた。

 1988年のソウル五輪や、2002年のサッカー・ワールドカップ(W杯)韓日大会は、公式には黒字を計上したことになっているが、これは競技施設の建設費を除外した数値のため、内部の事情は異なる。W杯の会場の一つ、仁川文鶴競技場の場合、W杯以後に運営費だけで毎年20億-30億ウォン(約1億4600万-2億1900万円)の赤字を計上している。これはW杯のほかの会場も同じような状況だ。

 ソウル大のカン・ジュンホ教授は、「スポーツイベントを招致するに当たっては、得られるメリットをはっきりと見極め、投資に対する利益について分析した上で、実利的なアプローチをしていくべきだ」と指摘した。

慶尚南道昌原市に建設されたフォーミュラ3(F3)レース場。現在、大部分の設備が撤去され、コースは一般道路として使われている。

F1取材班

李衛裁(イ・ウィジェ)記者

光州=金性鉉(キム・ソンヒョン)記者

金城敏(キム・ソンミン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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