【社説】砲撃で同胞を殺害しておいて「遺憾」とは
北朝鮮は27日、「人間の盾」などといった言葉を使うことで、自分たちの砲撃によって延坪島で民間人が死亡した責任を、韓国側に転嫁した。朝鮮中央通信はこの日発表した論評を通じ、「延坪島への砲撃で、民間人の死傷者が発生したのが事実なら、これは非常に遺憾なことだ。しかしその責任は、今回の挑発行為を準備する過程で、砲陣地周辺や軍事施設内に民間人を住まわせ、“人間の盾”を築いた敵の非人間的な行動にある」と主張した。
北朝鮮による砲撃は、韓国軍の海兵隊部隊だけでなく、そこから直線距離で1.5キロ離れた民間人居住地にも集中して行われており、この二つの場所の間には山が存在している。北朝鮮の砲撃が、韓国軍のK9自走砲に正確に狙いを定めていたことからすると、北朝鮮は普段から韓国側の基地と民間人の双方を標的にしていたことが分かる。死亡者が発生した地域も、部隊からかなり遠く離れていた。
民間人を狙った殺傷行為は、明らかに戦争犯罪だ。そのため北朝鮮は当然のことながら、金正日(キム・ジョンイル)総書記が直接謝罪し、関係者の処罰を約束すべきだ。ところが北朝鮮は、自分たちが砲撃を行ってから四日も過ぎてから、しかも当局ではなく通信社を通じて、「南(韓国)側が先に挑発し、米国がその背後にいる」という虚偽に満ちた論評を発表し、その中で「遺憾」という言葉を用いた。ちなみに2008年に金剛山で発生した韓国人観光客射殺事件や、昨年の黄江ダム放流による民間人死亡事件では、北朝鮮当局が直接前面に立っていた。
北朝鮮が示した「遺憾の意」は、民間人を殺傷したことに対する国際社会からの非難をかわすのが狙いであり、「人間の盾」という表現にも当然、同じ意図が込められている。さらにこの表現には、西海(黄海)5島(西海沖の北方限界線〈NLL〉近くにある五つの島)の住民と軍を仲違いさせ、8300人以上の住民に島を離れさせようとする意図も隠されている。住民が西海5島から立ち去れば、ここを紛争地域に仕立て上げ、領有権を主張しようとする北朝鮮の戦略にはまってしまうのは間違いない。
西海5島は地理的に北朝鮮と非常に近いため、常に危険な攻撃にさらされている。しかしこれは逆に言えば、敵の腹部を狙って相手の手足を縛ることのできる軍事的要衝だということも意味している。西海5島は、ここに住む漁業関係者たちが先祖の代から受け継いできた生活の基盤だ。「この島を守り抜いてこそ、ソウルも守ることができる」という発想の転換が今こそ必要だ。