人が生きる現場に飛び込み、丸ごとの現実と向かい合おうとしてきたドキュメンタリー映像作家、西山正啓さん(62)の軌跡を描き出す特集上映「水俣から沖縄へ~西山正啓フィルモグラフィー展」が27日、大阪市西区のシネ・ヌーヴォとシネ・ヌーヴォXで始まる。12月10日まで。
西山さんは山口県出身、水俣シリーズで知られるドキュメンタリー映画の巨匠、故土本典昭さんの下で修業を重ねた。82年、ノーマライゼーションをテーマにした「みちことオーサ」でデビュー。以来、沖縄や韓国などを行き来し、暮らしの場からの「否」を記録。映画、テレビで発表してきた。
公害や福祉、教育、戦争、基地……。その軌跡は人が人らしく生きられる世界とは何かを問う。今回は特に「9・11以降の10年間を整理した」。「再生までを見届けたい」という水俣をとらえた「水俣 わが故郷~ほっとはうす流もやい直し」(05年)、韓国の反米軍基地闘争を描く「梅香里 メヒャンニ」(01年)。沖縄が舞台の「『ゆんたんざ未来世』シリーズ」(09~10年)など計24本が並んでいる。
28日午後6時20分には石丸次郎さん(アジアプレス・インターナショナル大阪オフィス代表)と、29日午後7時10分には西谷文和さん(フリージャーナリスト)と西山さんとの対談もある。問い合わせはシネ・ヌーヴォ(06・6582・1416)。【中村一成】
毎日新聞 2010年11月26日 地方版