2010年11月29日5時29分
2022年のサッカーワールドカップ(W杯)開催地決定を数日後に控え、開幕戦などの会場となるスタジアム建設を巡り、ともに大阪へのW杯誘致検討協議会メンバーである平松邦夫・大阪市長と橋下徹・大阪府知事の足並みの乱れが表面化した。JR大阪駅北側の貨物駅跡(北ヤード)での建設を推す市長に対し、知事が反対を表明。日本招致委員会関係者の間では、知事の姿勢に困惑が広がる。
「僕は反対。森にしたい。北ヤードは市役所だけのものではない」。橋下知事は27日、自身が代表の大阪維新の会の街頭演説で、スタジアム建設についてこう語った。
北ヤードでの建設構想は昨年末、日本サッカー協会などが提案。平松市長は前向きで、日本がW杯開催地に選ばれなくても、規模を縮小して誘致する意向を示していた。
橋下知事は27日夜には報道陣に「招致があろうとなかろうとサッカー場を造るという方針は違う。市長選や統一地方選で建設を阻止する政治運動をやってもいい」と踏み込んだ。平松市長は同日、「国際サッカー連盟(FIFA)が視察に来た時点では知事は何も言わなかった」と不快感を示した。
知事の発言について、日本招致委員会の鬼武健二顧問は28日、「決定直前に地元行政の長がそんな発言をするのは、招致に反対だと誤解を招く恐れがあり、日本の招致活動にもマイナスになる」と苦言を呈した。招致委員長の小倉純二・日本サッカー協会会長も「招致は大阪市長との約束。計画通りにやってもらうしかない。橋下さんはサッカーが好きなはずで、発言の意図はよくわからない」と、困惑した様子で語った。
開催地はFIFA理事による投票で、日本時間12月2日夜から3日未明に決まる。