(cache) 仁坂氏が再選　和歌山県知事選

仁坂氏が再選　和歌山県知事選

　任期満了に伴う和歌山県知事選は28日投開票され、現職の仁坂吉伸氏（60）が、いずれも新顔で前県議の藤本真利子氏（56）とＪＲ西日本シニア社員の洞佳和氏（62）を破り、再選を果たした。仁坂氏の１期目の県政運営が信任されたことになる。しかし、選挙戦は盛り上がりに欠け、投票率は43・37％にとどまった。

　仁坂氏は「企業誘致や農林水産業の振興、財政再建など２００以上の改革で清潔で効率的な県政を取り戻した」と実績を強調。その上で「改革の続行が必要。海外市場をターゲットに県産品の輸出や観光客誘致を進める」などと２期目の展望を訴えた。

　自民党から「推薦」、公明党県本部から「支持」を得たほか、自治労県本部や農林漁業団体、市町村会などから幅広い支援を受け、有利に選挙戦を展開。昨夏から後援会の地方組織づくりを進めたり、対立候補の支持団体を切り崩したりして常に先手を取ってきた。

　藤本氏は「働く場がなく、多くの企業が倒産した」と仁坂氏の改革路線を真っ向から否定。「観光経済特区」や「県版中小企業支援機構」の創設などを掲げ、「財政出動しても雇用を拡大する」と現県政との違いを打ち出した。

　さらに、民主党と国民新党の「推薦」を得て「政権との太いパイプ」を強調。民主党から連日、知名度のある国会議員らの応援を得て「空中戦」を展開したが、政権支持率の低下もあって支持を伸ばせなかった。県内の民主党最大の支持組織、連合和歌山が自主投票を選択するなど、中心となる組織も固めきれなかった。

　洞氏も「力のあるものだけを引き上げる構造改革の地方版」と仁坂氏の改革を批判。「農産物の価格保証制度」や「中学生までの医療費無料化」などを訴えた。

　28団体でつくる支援組織から擁立され、共産党の「推薦」も得たが、出馬の出遅れもあり、支持を広げられなかった。三つどもえとなったことで現職の批判票が分散。一騎打ちだった前回の共産系候補より得票を減らした。

【支持者とともに万歳をする仁坂吉伸さん（28日午後８時20分ごろ、和歌山県和歌山市北汀丁で）】

(2010年11月29日更新)