韓国、戦時の指揮できない?

 日本経済新聞 平成22年11月29日


Q 戦時作戦統制権とは何か。


A 戦争などの有事が発生する際に2ヶ国以上の連合軍部隊を指揮する権限。現在、韓国軍の戦闘準備態勢は「4(軍事介入の可能性なし)」のレベルだが、米韓両国が「3(重大な緊張状態や軍事介入の可能性あり)」に上げると、韓国軍約65万5000人は在韓米軍司令官の指揮下に入る。
米韓は北朝鮮の核問題の深刻化や今年3月の韓国の哨戒艦沈没事件を受け、当初予定よりも3年遅い「2015年末」に有事の統制権を韓国に移すことで合意した。


Q 万一、北朝鮮が侵攻してきたら、どう対処するのか。


A 北朝鮮による侵攻を想定した作戦計画「5027」は、米韓連合軍司令官の統制権の保持を前提に、沖繩の米海兵隊など増援部隊も合流して防御体制の確立や反撃、北朝鮮への進攻などの手順を取り決めている。北朝鮮の体制の崩壊を織り込んだ「5029」の場合も連合軍司令官が共同作戦を指揮する。


Q 延坪島の砲撃による影響は。


A 李明博大統領は15年末統制権の移転までに、韓国軍の戦術指揮統制体系の充実などを進める考えだった。哨戒艦沈没や砲撃により、軍体制の不備に批判が集中。大統領は25日の閣僚会議で「政界最高の装備で徹底対応しろ」と指示するなど、軍事力の強化策のとりまとめを急いでいる。
(ソウル=山口真典)