ニュース 速報 YOMIURI ONLINE(読売新聞)
現在位置は
です

本文です

貨物のアジア拠点へ 関空「フェデックス来たれ」

韓国・仁川と争奪戦

関空はフェデックスのアジア拠点誘致に力を入れている=永井哲朗撮影

 関西国際空港が、航空貨物最大手・米フェデラルエクスプレス(フェデックス)のアジア拠点誘致に乗り出している。国際貨物ハブ(拠点)空港への大きな足がかりとなる上、関西への経済効果も期待できるからだ。貨物取扱量が関空の約4倍に達する韓国・仁川(インチョン)空港も誘致を狙っており、フェデックスが年内にも示す判断が注目される。(山本照明)

 「関空には(フェデックスが必要とする)倉庫などを建てる余地がある。流れは悪くない」。関西経済連合会の下妻博会長は15日の記者会見で、誘致実現に自信を示した。

 9月8日には、福島伸一・関空会社社長や長安豊・国土交通省政務官(当時)らが香港を訪れ、フェデックスのアジア・太平洋地域のトップと会談。長安氏は、「国が責任を持って関空を育てる。選んでほしい」と訴え、民間企業に対しては異例となる国交相の親書を手渡した。2時間を超える会談で、フェデックス側は年内に結論を出す考えを示したという。

 フェデックスはアジアのハブを中国・広州の白雲空港に置いているが、貨物需要急増をにらみ、東アジアに別のハブ設置を内々に検討してきた。同社が日本での候補地を、離着陸が24時間可能な関空に絞ったため、関空側は官民挙げて誘致に力を入れてきた。

 関空がフェデックスの新たなハブとなれば、貨物便の大幅増が予想され、着陸料の増収など収益力強化につながる。関西拠点のメーカーにとっては輸出入がやりやすくなり、物流も活発化するため、関西経済の底上げ効果も期待できる。

 関空は発着枠に10万回以上の余裕がある上、2期島には計画が決まっていない土地約280ヘクタールが残されており、フェデックスの事業拡大にも対応可能だとしている。輸送面での安全性もアピール材料だ。

 ただ、ライバルの仁川は着陸料や施設使用料などコストを関空より安く抑えている。「韓国も積極的にアピールしている」(国交省幹部)といい、フェデックス側に一段の優遇策を示しているとの見方もある。

 関空側は「誘致実現は五分五分」と見ており、国交省は、貨物輸出入手続きの効率化などを約束することで、誘致に向けて一押しする考えだ。

 フェデラルエクスプレス 1973年4月設立。本社は米メンフィス。ボーイング777型機など660機を超える貨物専用機を保有し、220以上の国と地域を結ぶ。貨物取扱量は1日当たり約350万個に達する。

2010年11月17日  読売新聞)
現在位置は
です