磐田−名古屋 前半11分、FKで先制点を決める小川(隈崎稔樹撮影)
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J1初制覇の名古屋グランパスはMF小川佳純(26)FW玉田圭司(30)の挙げた2点で磐田を下し、年間1ステージ制での最多22勝に並んだ。磐田FW前田遼一(29)は今季16得点目でトップのケネディ(名古屋)エジミウソン(浦和)と並び、12月4日の最終戦で史上初の2年連続得点王を狙う。大宮は新潟と引き分け、残留決定。16位の神戸は清水を破り、4試合ぶりの勝利。FC東京は山形と引き分け、仙台は広島に敗れた。最終節で浦和戦の神戸、京都戦のFC東京、川崎戦の仙台があと2つの残留枠を争う。
小川が右足を振り抜いた。ボールは鋭いカーブを描き、ゴール左隅に突き刺さった。割れんばかりの歓声の中、ベンチ前では、控えの選手が出迎えて、ヒーローを中心に、歓喜のゆりかごダンスが披露された。
前半11分、ゴールから約25メートルのFK。ストイコビッチ監督が、キッカーに小川を指名した。「タマさん(玉田)が譲ってくれた。『ズミ(小川)けれっ』て直志さん(中村)が伝えてくれた」。試合前日の26日、GK楢崎を相手にしたFK練習で、キックの好感触をつかんでいた。先輩たちの期待を心地よく、ボールに乗せた。
「監督から試合前、セットプレーで自分たちのアイデアを入れていけと言われていた」。言葉どおり、三都主がけると見せてボールの上をまたいだ後、小川がけった。「まだ試合序盤。力みすぎずリラックスを心がけた。無回転で最後に落ちるイメージを思い描いた」。自分でも驚くほど、きれいに決まった。
小川の先制弾は重苦しい雰囲気も打ち破った。優勝を決めた直後、ホームのFC東京戦では、無得点で敗れた。祝福ムードは消えそうになり、子どもが誕生した穂積トレーナーにゆりかごダンスを贈ることができなかった。「連敗はしない」と、強い気持ちで臨んだ。
この勝利で、1シーズン制最多の22勝に並び、今季1度も連敗なしでシーズンを終えることになった。最終戦に勝てば、最多勝ち点の「72」に並ぶ可能性も残した。「前回ホームで負けているので、次こそは勝つ」と小川。J1初優勝を決めた今季にふさわしく、12月4日の広島戦(豊田ス)は、強いグランパスで締めくくる。 (伊東朋子)
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