1992年---アルベールビル五輪。五輪史上初めて、銀盤の上で3回転半ジャンプを飛んだ女性フィギュアスケーター伊藤みどり。
3回転ジャンプの中で唯一、前向きに踏み切るトリプルアクセルは、ジャンプの天才と称された伊藤みどりでも「次元が違う」と言わしめるほど難易度が高く、10年以上経った今でも、公式戦で飛ぶ選手は少ない。演技プログラムにトリプルアクセルを盛り込むと、その技に神経が集中し、万が一失敗した場合、演技全体のバランスを崩す可能性がある。芸術性が重要視されるフィギュアにおいて、美しさや華麗さを武器に戦う選手にとっては必要ない大技であった。しかしなぜ伊藤みどりは、精神的にも肉体的にも負担を強いるこの大技に、こだわり続けたのだろうか?
番組では、採点競技の難しさを乗り越え、見事五輪で銀メダル獲得という大輪を咲かせた伊藤みどりの「技」に対するこだわりを追うとともに、究極のジャンプを追い求める山田満知子コーチとの二人三脚の物語に迫る。