通常兵力では韓国軍が優れていても、北朝鮮が核兵器を保有することで、その劣勢を逆転できるほどの威力がある。
数発で韓国全土を消滅させるほどの殺傷能力があり、日本全土やグアムまで核弾道ミサイルの射程距離に入っているとしたら、米国や日本も迂闊に動けないであろう。
韓国と日米の間に楔を打ち込みながら、在韓米軍を実質的に無力化して、朝鮮半島を赤色統一しようというのが、北朝鮮と中国の究極の目的なのである。今回の民間人を巻き込んだ無差別な軍事行動は、その始まりだといっていいだろう。
第二次朝鮮戦争では「戦争特需」はありえない
軍事衝突が発生して以来、マーケットの反応は速く、円やウォンが売られ、ドル高で金が高騰している。戦時には紛争地の通貨が安くなり、ドルや金が高くなるのが通常で、今回も同様の傾向が現れている。
今後緊張が高まるにつれて、ますますその傾向が強くなるが、前回の朝鮮戦争では、日本が後方支援基地として食糧や資材の補給、兵士の休息地として特需があり、戦後の経済復興の端緒となった。
今回も不況にあえぐ日本経済への特需となるのではという期待もあるが、まったくあたっていない。
まず前回の特需を支えた基盤、つまり第二次産業の工場や施設などが日本国内から海外に移転してしまっていること、兵士の休息地として賑わった基地に近い繁華街が不況でシャッター通り化して、寂れてしまっていることなど、朝鮮戦争当時とはまったく状況が異なっているのだ。そのうえ、回復基調にあった日本経済を支えてきた富裕層は戦争を嫌って、海外逃避する可能性も高い。
実は、リーマンショック以来、低迷する世界経済を底支えして、復調を先導したのは、世界の富裕層だが、日本の富裕層の人口も、アジア太平洋地域の平均成長率25.8%には及ばなかったが、2008年末の136万人から20.8%増加して、2009年末は165万人になっていたのだ。
日本の富裕層は、金融資産で100万米ドル~500万米ドルの層が多く、前年は金融危機の影響で、富裕層のカテゴリーから脱落した個人が増えたが、2009年には、株式などの主要資産クラスの回復の恩恵を受けて、再びそれらの個人が富裕層のカテゴリーに戻ってきた。
しかし、第二次朝鮮戦争が勃発することによって、富裕層はリスクを嫌って海外へ移住し、当然日本から資産もどんどん流出して、全体の消費は落ち込み、デフレ基調になり、未曾有の大不況がやってくることになるだろう。
参考資料:『産経新聞』(10年11月23~26日付)、『ワールド・ウェルス・レポート』(メリルリンチ・グローバル・ウェルス・マネジメント)など
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