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【海外事件簿】無免許運転、証拠隠滅疑惑、SS抗議船衝突調査で、新事実が判明 (2/3ページ)
このニュースのトピックス:海外事件簿
報告書によれば、アディ号にはクルー6人が乗船していたが、ニュージーランドが公的に認めた、いわゆる「船舶免許」を保有していたのは船長のピーター・ベスーン元被告(乗り込み事件で有罪判決)のみだった。事故発生時には、元警官のニュージーランド人が無免許のまま、船の操縦桿(かん)を握っていた。
他の5人は事故時に船の屋根にいた。しかし、第2昭南丸が接近してくることを、運転席に知らせるのを怠った。元警官は衝突直前になって、第2昭南丸がすぐそばにまで迫っていることを知り、緊急回避措置が間に合わなかった。
アディ号はデザイン性と高速航行性を重視して建造されたあまり、その代償として、運転席からの視界が極端に狭かったり、低速時の操縦性が劣悪だったりと、構造的な欠陥があったことも明らかになった。
同船は以前に、グアテマラで死亡海難事故を起こしたこともあり、こうした船の問題点が事故を誘発する背景にあったこともわかった。
昨年11月には、MNZがアディ号内部を検査した際、安全な航行のための設備が不十分であったことが発覚。「この船は氷が浮かぶ海洋での航行は許可できない」として、アディ号に警戒していた。
しかし、アディ号はこれを振り切って、オーストラリア・パース港へと出港。結局、同ホバート港を経由して、南極海へと向かうことになるが、オーストラリア海事当局も、船舶免許の有無や設備検査などを徹底して行わず、アディ号の出港を許していた状況も浮かび上がってきた。
一方、MNZが導き出した第2昭南丸の過失は、事故に至るまで、国際規約で定められた衝突回避義務を取らなかったことだった。