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【海外事件簿】無免許運転、証拠隠滅疑惑、SS抗議船衝突調査で、新事実が判明 (1/3ページ)
このニュースのトピックス:海外事件簿
今年1月、反捕鯨団体シー・シェパード(SS)の抗議船「アディ・ギル」号と日本の第2昭南丸が南極海で衝突した事故をめぐり、アディ号の船籍国であるニュージーランドの海事当局(MNZ)がこのほど、事故原因を究明した調査報告書を公表した。結論として、衝突の責任は双方にあり、どちらかが意図的に事故を引き起こしたという明確な証拠はなかったとしたが、報告書の中では、これまで表に出なかった新事実も明らかになった。アディ号はMNZの警告を振り切って出港していたほか、事故当時、船舶免許をもたないクルーが運転していたことが判明。SSが、調査にあたり重要な証拠の隠滅を図ろうとしていた疑いも浮上した。(佐々木正明)
報告書は56ページにも及んだ。10カ月間の調査期間で、MNZは事故発生時のビデオ映像の解析やアディ号クルーへの綿密な聴取、さらに、両船の航行記録などを詳しく検証し、国際規約にのっとり、双方にどのような過失があったかを割り出した。
MNZは、国際刑事警察機構(ICPO)を通し、日本の海上保安庁から第2昭南丸の航行記録などの証拠類の提出を受けたが、結局、同乗組員の聴取はできなかった。MNZは日本側に度重なる協力要請をしたものの、「日本の当局が聴取の手助けをしなかったか、強制的にさせないようにした」と報告書の中で指摘した。
一方で、MNZは第2昭南丸乗組員の証言なしでも、衝突原因の割り出しに「絶対的な自信を持っている」と説明した。十分なほどの物的証拠がそろい、乗組員の証言は、MNZが打ち立てた衝突原因の“確かさ”を裏打ちするだけの1つの有力情報に過ぎなかったとの判断があったとみられる。