F1:韓国GPが残したもの(上)
利益はすべて英国企業に流れ、残ったのは巨額の赤字
4000億ウォンの工事費用が全羅南道に重くのしかかる
当初見込額の2倍に膨れ上がり、そのほとんどは借金
年内の利払いだけで150億ウォン
「マネジメント社による放漫運営」という指摘も
業者の選定過程で浮上した問題も無視
支出の内訳報告されず
全羅南道霊岩郡三湖邑三浦里。海を埋め立てた4.5平方キロの干拓地は、面積がソウル・汝矣島の1.5倍ほどある。この干拓地のど真ん中に、1.85平方キロの巨大サーキットが存在する。これが今、問題となっている「コリア・インターナショナル・サーキット」だ。その荒涼とした風景には、5.6キロのコースと観客席11万8000席が堂々と横たわっている。
このサーキットでは先月、世界最大規模の自動車レース、フォーミュラワン(F1)韓国グランプリ(GP)が開催された。駐車場もなく、人家もまばらな田舎だが、最高速度が時速320キロにもなる高性能のレースカー24台が、鼓膜が破れそうなほどのエンジン音を響かせ、15万人もの観客を熱狂させた。
しかし、大会が終わって3週間が過ぎた今、この巨大サーキットは静寂に包まれている。F1大会を開催するために総力を挙げた全羅南道は、さまざまな後遺症に苦しんでいる。車のエンジン音が聞こえなくなる以前から、レースの開催をめぐっては数々の疑惑が取りざたされ、これを徹底的に解明するため、監査院と全羅南道議会が監査に乗り出した。
- 先月24日に霊岩で開催されたF1韓国GP決勝は、大会運営や経済面など、多くの点で課題を残した。/写真=キム・ヨングン記者
■今大会は赤字だけで400億ウォン
当初予想された通り、大会が終わってみると赤字だった。開催前に提出された報告書によると、初年度には70億ウォン(約5億2000万円)の黒字が見込まれていたが、結果は正反対だった。スポーツマーケティングを研究するある学者は、「F1はどこで開催されても例外なく赤字になる。黒字予想はあまりにも非現実的」と指摘した。
大会組織委員会は、今回のような「F1コリア・グランプリ」(大会の公式名称)を開催するのに生じる赤字を、およそ400億ウォン(約30億円)前後と見込んでいる。F1を運営するFOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)に対し、大会開催の見返りに当たる「開催権料」として330億ウォン(約24億3000万円)を支払い、さらに中継権料110億ウォン(約8億1000万円)、それ以外の運営費として150億ウォン(約11億円)を支払うなど、合計600億ウォン(約44億2000万円)もの支出があったのに対し、収入はわずか180億ウォン(約13億3000万円)ほどにしかならなかったからだ。
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