【コラム】アジア大会、企業は「金」も政治は…(下)

 財閥がスポーツ育成に乗り出すことに批判的な人たちもいる。その主な論理は、「労働者の血を吸って、自分の名声を高めるために利用している」というものだが、韓国のスポーツ史を見ても、容易に同意することはできない。

 今でこそ、皆が主役だと自慢できるが、1988年のソウル・オリンピック誘致は、故・鄭周永(チョン・ジュヨン)会長がいなければ不可能だった。2002年のサッカー・ワールドカップ(W杯)もまた、同氏の息子、鄭夢準(チョン・モンジュン)議員がいたからこそ実現した。

 鄭夢準議員は12月2日、スイスのチューリッヒで行われる2022年W杯誘致戦に、以前から参戦を表明してきた。確率は断言できないが、W杯誘致に成功した場合、再び「自分も一役買った」と言い出す人が続出するはずだ。

 一時、スポーツ界において日本は、われわれが追い付くことが難しいほどの大国だった。そんな日本が数十年後、各種大会で苦戦するようになってから、韓国をパートナーとして見なすようになった。分析好きな日本人は、韓国のスポーツの力を、企業の力から見出せるとしている。

 韓国の成長を率いる企業が、スポーツという異色の分野で見せた力は「政治」と比べると、さらにはっきりする。一例として、アジア大会で失敗した種目の代表、レスリングが挙げられる。この種目の団体長は確かに企業家だ。

 しかし、この企業家は、実際には企業よりも政界との関係で有名になり、現在は警察の捜査に追われ、海外をさまよっている。国技という名声に泥を塗ったテコンドー協会長とともに期待を集めたが、国民をがっかりさせたビリヤード協会長も政治家だ。

 企業という言葉を聞くだけで拒否反応を示す人も多い。しかし、結局韓国は、企業の力で生存するしかないのではないか。広州アジア大会を見ながら、企業の力と能力を改めて確認した。

文甲植(ムン・ガプシク)スポーツ部長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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