「今は悔しい気持ちでいっぱい」と話す吉田教諭(中央)=高松市松島町1丁目、高松商高
平岡都さん(19)が今春まで通っていた高松商高(香川県高松市松島町1丁目、奈良計男校長)では7日、元担任の吉田稔教諭(43)らが記者会見。「行方が分からなくなって以降、非常に心配していた。今は悔しい気持ちでいっぱい」とやりきれない表情で話した。
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吉田教諭は9月ごろ、同校を訪れた平岡さんと話し、「変わった様子もなく、楽しそうに大学生活の充実ぶりを報告してくれた。『夢に向かって頑張りなさい』と声を掛けた」という。
平岡さんの印象は「まじめでおとなしい子」。ただ、応援部として活躍するなど「活動的な面もあった」とも。英語が得意で、米国への語学研修では「ホームステイ先でもすぐにとけ込んでいた」と振り返った。
進路については「動物好きで、入学当時は動物にかかわりたいという夢もあったようだが、語学研修をきっかけに英語を生かせる進路を選んだ」と紹介。「希望を持って島根県立大に進学した。道半ばで悔しいと思う。夢を持った子がなぜ」と話すと、無念さを抑えられず顔をしかめた。
会見には奈良校長も同席。「将来ある命が一方的に奪われた。犯人には怒りと憤りを感じる」と強い口調で話した。
「ひどい 許せない」/高校同級生
「誰がこんなひどいことを。許せない」―。平岡都さん(19)が、明るい笑顔とともに無事に帰ってくることを信じて待っていた高松商高時代のクラスメートは最悪の結果に、込み上げる怒りと悲しみをあらわにした。
3年間同じクラスだった、さぬき市の女性(18)は「入学式の日に最初に声を掛けてくれたのが平岡さん。優しくて、まじめで、本当にいい友だち。犯人は絶対に許さない」と声を震わせた。
「行方不明になってから心配でたまらなかった」。高校時代の1番の親友という高松市出身の女子大学生(19)は、何度もかけたがつながらなかった携帯電話を手に「都は何も悪いことをしていないのに…」と泣き続けた。
平岡さんは応援部に所属し、小柄な体をいっぱいに使って名門の野球部を3年間鼓舞し続けた。「普段は優しく、おとなしかったが、応援のときは頼りになる存在」と話すのは、昨夏の高校野球県大会で一緒にスタンドで声を枯らした男子大学生(19)。「事件や事故には最も縁遠い存在と思っていたから、今でも信じられない」とショックを隠せない様子だった。
「最悪の結果極めて残念」 言葉に詰まる大学学長
平岡都さん(19)が通っていた島根県立大(浜田市)は本田雄一学長が会見。「大きな驚きと衝撃を受けている。元気な姿で戻ってくると願っていたが最悪の結果となり極めて残念」と終始、沈痛な表情だった。
グレーのスーツ姿で手元のメモを読み上げるが時折言葉に詰まり、言い直しも。「ご両親の無念さはいかばかりか。犯人に憤りを覚える」。一方、「学生を預かる大学として安全確保できずに申し訳ない気持ち」と頭を下げる場面も。
職員が慌ただしく走る姿もあるが、土曜日のキャンパスは人もまばら。平岡さんが働いていたアイスクリーム店を訪れたことがある男子学生(20)は「『今度サービスしてあげる』と言ってくれた」と振り返る。4年の女子学生(22)は「まさか殺人事件になるとは…」と動揺を隠せない。