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【主張】対北非難決議 菅政権も断固たる制裁を

2010.11.28 03:03
このニュースのトピックス主張

 韓国・延坪(ヨンピョン)島を砲撃した北朝鮮を非難する決議が衆参両院の本会議で、与野党の全会一致で採択された。「無差別とも呼べる砲撃」を「言語道断の暴挙」と指弾し、新たな対北制裁や国際的圧力の強化を求めている。

 当然の対応である。全会一致の国会決議は全国民の意思でもある。国家の安全保障への党派を超えた協力を評価したい。これを受け、菅直人政権は対北追加制裁などを速やかに実施すべきだ。

 日本はすでに、北のミサイル発射や核実験、拉致問題などで全面禁輸などの経済制裁を発動している。今年3月の北による韓国哨戒艦撃沈事件でも、対北送金の報告義務の上限を引き下げた。残された制裁の余地は限られているとはいえ、北に断固たる姿勢を示すためにも新たな制裁が必要だ。

 北朝鮮への国際的な圧力を強めるためには、何よりも日米韓3カ国の連携強化が急務である。そのうえで、中露など周辺各国の協力を求めたい。国連安保理への問題提起に向けても、日本は米韓と緊密に事前調整を行うべきだ。

 今回の決議の原案には当初、拉致問題への言及がなかったが、調整の結果、「拉致問題の早期全面解決も強く求める」との文言が盛り込まれた。これも当然だ。いついかなる時でも、日本の主権が侵害され、日本人の生命と人権が危険にさらされている拉致問題を忘れてはならない。

 今回、菅政権は朝鮮半島有事などへの対応を定めた周辺事態法の適用を早々と見送った。「有事であってほしくない」との事なかれ主義だとすれば、問題である。

 韓国には2万8千人以上の日本人がいる。北に拉致されたまま帰国していない政府認定の被害者は17人で、拉致の疑いを否定できない特定失踪(しっそう)者を含めると100人を超える。有事の際、これら在外邦人の救出に自衛隊がどこまで協力できるのかも、早急に検討する必要があろう。

 周辺事態法は平成11年、冷戦後の日米防衛協力のあり方を示す新ガイドライン3法の1つとして成立した。しかし、自衛隊の活動は戦闘地域でない「後方地域」に限られ、自衛官の武器使用も正当防衛などに限定されている。これで実際に邦人を救出できるのか。

 自衛隊の有事対応能力の強化を含め、朝鮮半島有事に備えた法整備も急務である。

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