【北米総局】米国のボズワース北朝鮮担当特別代表が訪中し、中国外交を統括する戴秉国(たいへいこく)国務委員や武大偉(ぶだいい)朝鮮半島問題特別代表らと北朝鮮砲撃事件直後に会談した際、中国側が「(米国が)北朝鮮と対話しないから、こういう事件が起きたのだ」と対北政策に苦言を呈していたことが27日、分かった。米中関係筋が明らかにした。中国は6カ国協議再開や米朝対話を促してきたが、米国が拒否するうちに砲撃事件が発生。6カ国協議議長国として、伝統的な友好国である北朝鮮と日米韓の対立のはざまに立つ中国のいら立ちが浮き彫りになった。
ボズワース氏は、北朝鮮によるウラン濃縮施設公開などを受けて21~22日に韓国、日本を巡回。23~24日には中国を訪問し、戴国務委員や武代表らと会談した。当初はウラン濃縮や6カ国協議再開の条件を協議する予定だったが、北京到着日の午後に砲撃事件が発生したため、事件への対応を重点的に意見交換したという。
米国のオバマ政権は北朝鮮に対し、制裁を強化する中で、非核化に向けた具体的な措置を取らない限り交渉に応じないという「戦略的忍耐」の政策を貫いており、韓国や日本も同調している。同筋によると、中国側はこうした米政府の方針を念頭に、一連の会談の中で「対話しないから事件が起きた」との不満を述べたという。これに対し、ボズワース氏は、中国が独自の影響力を持つ北朝鮮に、事態を悪化させずに抑制的な行動を取るよう働きかけることを強く求めた模様だ。
ボズワース氏は23日、事件を巡る中国側との協議内容について記者団に対し「こうした衝突は非常に望ましくなく、すべての関係国が自制的に行動すべきだとの認識を共有した」とだけ述べていた。
毎日新聞 2010年11月27日 15時02分(最終更新 11月27日 20時00分)